2012 Fiscal Year Annual Research Report
血中マラリア原虫感染細胞を同定する赤血球アレイのためのマイクロ流体デバイスの作製
Project/Area Number |
11J10516
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
手島 哲彦 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 寄生虫 / 細胞内感染 / マイクロ加工デバイス / 膜タンパク質 / 細胞接着性タンパク質 / 共焦点顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度での研究成果として、寄生虫がいかに宿主細胞に侵入していくかを解析するマイクロ加工デバイスを二種類作製した。これまで、寄生虫感染メカニズムの解明のため、様々な角度から侵入を観察することが求められてきた。ただ既存の細胞培養の手法では細胞はディッシュなどの二次元上に培養され、培養液中に懸濁された寄生虫体が膜に垂直に侵入していくため、顕微鏡の光軸と侵入方向が同軸上に存在し、細胞間の境界面を捉えることが困難であった。そこで我々は接着性細胞の接着性を保存しつつハンドリングし、培養方面を自由自在に変化させることが可能な培養基盤を作製した。これは二種類の大きさをもっており、宿主細胞を多細胞レベルと単一細胞レベルのどちらでもハンドリングが可能となるよう設計されている。一方は細胞培養平面がガラス基板とヒンジにより結ばれており。培養平面内に磁場応答性の金属であるパーマロイをパターニングすることにより外部磁場に応答することによって任意の方向に細胞が多細胞体として同一のタイミングでアラインされる「マイクロフラップ」と呼ばれるデバイスである。またもう一方のデバイスでは、細胞の生育面積を制限することにより単一細胞のみがそこに接着し培養される「マイクロプレート」を作製し、一つの細胞を隔離しながらその培養面積の制限を行い、かつ細胞の形状を変化させた状態を維持しながらハンドリングを行うことに成功した。これにより細胞の生育基盤に傾斜をつけながら寄生虫の侵入過程を観察でき、二細胞間の境界面を捉えながら、どういった時間スケールでどのような侵入角度をもて細胞内に入るかを初めて観察することに成功した。また共焦点顕微鏡による観察を組み合わせることで、x-y平面で直接細胞の侵入を観察でき、高解像度なスキャン画像の取得が可能なことから宿主細胞骨格の変形など様々な新しい知見を世界で初めて報告するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
私は寄生虫とMEMSデバイスという全く異なる分野を融合し,新たな研究分野を開拓しようと日々真剣に研究に打ち込んでいる.また研究室の後輩の指導も積極的に行い,これまでに3人の学生の実験補助,研究遂行指導,研究集会発表,論文作成の一通りを行った.その御蔭もあって,研究成果面では国内学会で6度成果発表を行い、国外学会では6度の発表,そのうち世界的にレベルの高い研究集会にて査読率が10%を下回る口頭発表を2度も行った.そのうえ国内外での研究集会で二度もベストポスターアワードを獲得し,徐々にその研究成果のインパクトの高さが世界中の研究者より証明され,他の研究者に評価されていることが伺える.それらすべての研究成果を鑑みて,計画以上の発展と位置付けた.
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Strategy for Future Research Activity |
寄生虫体の宿主細胞への侵入過程の高解像度な画像を取得することに成功したので、今後はその詳しい分子発現過程を細胞を横に傾斜をつけた状態で蛍光観察することに努める。また観察時におけるブラウン運動により像のゆがみを制限するべく、基盤の傾斜観察時での固定方法について考案する。最後に細胞体中の侵入における必須要素の同定に向けた細胞模倣リボソームの作製を行い、基板上に接着させて寄生虫隊の侵入の可否を調査する予定である。
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[Presentation] 寄生虫侵入観察のためのマイクロフラップ2012
Author(s)
手島哲彦, 尾上弘晃, 栗林(繁富)香織, 青沼宏佳, 嘉糠洋陸, 竹内昌治
Organizer
文部科学省科学研究費 超高速バイオアセンブラ 第1回若手研究者シンポジウム
Place of Presentation
京都府 京都サイエンスパーク
Year and Date
2012-07-01