2011 Fiscal Year Annual Research Report
電解析出法による高信頼性バルクナノ結晶材料の創製とその実用性具現化に関する研究
Project/Area Number |
11J10607
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松井 功 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | バルクナノ結晶メタル / 電解析出法 / Ni / Ni-W合金 / Fe / Fe-C合金 / 引張特性 / 延性改善 |
Research Abstract |
本研究の目的は、電解析出法により、高強度と高延性を両立するバルクナノ結晶メタルの創製および実用性を具現化することである。これらを達成するために、バルクナノ結晶Ni、Ni-w合金の引張特性評価、バルクナノ結晶Fe、Fe-C合金の作製プロセスの開発に関する検討をおこなう。H23年度に得られた結果は以下の通りである。 ・電析バルクナノ結晶メタルの延性改善に向け、添加剤の影響と電流密度の検討により、厚み1mm程度のバルクナノ結晶Ni、Ni-W合金の作製に成功した。特に、バルクナノ結晶Niは10%を超える優れた塑性変形能を示した。さらに、用いる光沢剤を変化させることでその引張特性は大きく変化し、光沢剤により電析バルクナノ結晶メタルにおける引張特性のコントロールが可能であることを示した。また、光沢剤により被膜中の炭素・硫黄量が変化しており、これらの不純物元素が電析バルクナノ結晶Ni、Ni-W合金に影響を与えていると考えられた。 ・電析バルクナノ結晶メタルの応用展開に向け、Fe電析プロセスのバルクナノ結晶メタル作製プロセスへの応用を図った。実際には、用いる錯化剤、電流密度、浴温度、pHの最適化をおこない、厚み1mmを超えるバルクナノ結晶Fe、Fe-C合金を効率良く作製可能なプロセス・電析条件を見出した。しかしながら、バルクナノ結晶Feは柱状組織を、バルクナノ結晶Fe-C合金はマルテンサイト相を有しており、優れた延性を示すには至らなかった。現在、これらの塑性変形能改善に取り組んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、予定していた(1)第一原理計算によるMisfit strainの算出、(2)Ni電析プロセスの開発に加えて2年目に計画していたFe電析プロセスの開発を並行して行いバルクナノ結晶Fe、Fe-C合金の作製に成功している。また、第一原理計算によるMisfit strainの算出も予定通り行い計算もすでに終えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
バルクナノ結晶Feは柱状組織を、バルクナノ結晶Fe-C合金はマルテンサイト相を有しており、大きな伸びの発揮には至っていない。今後は、これらの延性改善に向けバルクナノ結晶Fe-C合金にNiを添加することで電析バルクナノ結晶Ni鋼の作製を行い、マルテンサイト相からオーステナイト相に変化させていく予定である。
|
Research Products
(9 results)