2012 Fiscal Year Annual Research Report
可視光応答性を有するボール型チタニアナノバスケットの合成とそれを用いる光触媒反応
Project/Area Number |
11J10617
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
北野 翔 近畿大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光触媒 / 酸化チタン / 可視光応答型 / 選択酸化 / ナノバスケット / 金属イオン / 選択還元 |
Research Abstract |
当研究室で開発したHyCOM法(有機溶媒中におけるナノ結晶酸化物の合成法)を用いて酸化チタン(TiO_2)を合成した。このTiO_2微粒子を用いて、溶媒の種類、pH、温度、カップリング剤の種類、方法などを変更し、ボール型チタニアナノバスケットの合成を試みた。現在までに検討した合成条件においては、バスケット構造は構築されないことが判明した。 また、還元反応と酸化反応を同時に行う特異反応系の検討の第一段階として、金属イオン修飾TiO_2微粒子を用いて、可視光照射下における酸化反応(ベンジルアルコールからベンズアルデヒドへの酸化)と還元反応(ニトロベンゼンからアミノベンゼンへの還元)を個別に行った。 その結果、酸化反応においては、選択率90%以上の高い活性が得られたが、還元反応においては選択率が50%程度だった。そこで、前年度の研究過程において新たに発見した可視光応答型光触媒:ニオブ酸スズを用いて、この還元反応を行ったところ、99%を超える極めて高い選択性を示した。これらの結果から、金属イオン修飾TiO_2とニオブ酸スズを複合する事で、本研究課題の目標反応への新たなアプローチの可能性が示唆された。 また、金属イオンを修飾したTiO_2粉末において、これまでの研究で高い活性を示しているロジウムイオン修飾TiO_2を、空気雰囲気下で焼成処理を行うことによりさらに活性が向上する事を見出した。350℃のまでの温度領域では活性の向上が見られたが、350℃以上の温度領域では活性の減少が見られた。この結果は、金属イオン修飾による可視光応答性(可視光吸収特性)を、さらに性能向上させることが十分に可能である事を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ボール型チタニアナノバスケットの合成構築が達成されていないため、計画よりやや遅れている。一方、バスケットに可視光応答性を付与するための金属イオン修飾の特性や、それを用いた選択酸化反応においてはTiO_2微粒子を用いて実験を行っており、計画以上に研究が進展していると共に、非常に有用な結果が得られている。そのため、バスケットが構築された後の可視光応答性を付与した実験は、高活性な金属イオンが判明しているため、効率的に進行できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
触媒合成においては、引き続きボール型チタニアナノバスケットの合成実験を行う。チタニアナノバスケット構築後、TiO_2微粒子系で高い活性を示した金属イオンを修飾し、可視光応答性を付与する。焼成処理により、可視光応答性を向上させるとともに、選択酸化反応、選択還元反応を行う。また、選択還元反応においては、金属イオン修飾TiO_2のみでは活性が低い場合、ニオブ酸スズを用いて反応達成を試みる。各々の反応で選択率が高い触媒を用いて、新規な酸化還元同時有機合成を試みる。
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Research Products
(4 results)