2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内輸送システムによるイノシトールリン脂質シグナル伝達経路の空間的制御機構
Project/Area Number |
11J10625
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
李 翠芳 近畿大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イノシトールリン脂質 / PI4P5キナーゼ / 細胞増殖抑制 / 細胞内輸送システム / 脂質結合タンパク質 |
Research Abstract |
本研究は、独自の研究成果に立脚した独創的な分子遺伝学的手法とゲノムワイドな手法を用いて、1)生体に必須の役割を持つ脂質の一つであるイノシトールリン脂質:PI4,5P2を介するシグナル伝達経路の制御因子の同定を行い、2)イノシトールリン脂質の空間的ダイナミクスの制御機構を細胞内輸送システムに焦点をあてて明らかにすることで、3)イノシトールリン脂質シグナルネットワークの解明をめざすものである。本年度は以下のことを明らかにした。 PI4,5P2のマーカーであるGFP-PH,PI3PのマーカーであるGFP-FYVEなどのプラスミドを駆使して、細胞内輸送変異細胞における脂質の細胞内局在を可視化した。その結果、野生細胞に比べ、細胞内輸送変異細胞において、PI3Pの局在は変化しなかったのに対し、PI4,5P2は細胞膜への局在が顕著に低下し、細胞質に局在した。この結果から、細胞内輸送に関与する因子はPI4,5P2の局在を空間的に制御することが考えられる。またPI4P5キナーゼ過剰発現に伴う細胞増殖抑制を回復する因子として同定されたSlp2に関して、昨年度確立したタンパク質-脂質結合アッセイのシステムを用いて、Slp2の結合脂質を同定した。Slp2はこれらの脂質と結合することで、PI4,5P2の代謝に重要な影響を与えていることが示唆される。さらに、京都大学と共同研究を行い、Its3過剰発現細胞の脂質プロファイリングを測定した。正常細胞と比較すると、Its3過剰発現細胞において、イノシトールリン脂質のバランスが崩れた結果を得た。しかし、Slp2を同時に発現すると、脂質のバランスが正常細胞に近づくようになった。この結果から、脂質結合タンパク質は脂質のバランスを制御することが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の通り順調に進展している。PI4,5P2のマーカーであるGFP-PH,PI3PのマーカーであるGFP-FYVEなどのプラスミドを駆使して、細胞内輸送関連因子の変異細胞における脂質の細胞内局在を可視化した。またSlp2の結合脂質を同定した。さらに、Its3過剰発現細胞の脂質プロファイリングを測定し、脂質のバランスが崩れていることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
イノシトールリン脂質代謝酵素のノックアウト細胞および過剰発現細胞を作製し、これらの細胞において、Its3過剰発現による細胞増殖抑制が起こるか否かを検討する。さらに、イノシトールリン脂質キナーゼの阻害薬を駆使し、Its3過剰発現細胞に添加することで、細胞増殖を調べる。 また細胞内輸送変異細胞や、脂質結合タンパク質であるSlp2の変異細胞と過剰発現細胞の脂質プロファイリングを測定し、細胞内輸送関連因子と脂質結合タンパク質のイノシトールリン脂質代謝への影響を詳細に調べる。
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Research Products
(4 results)