2011 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβの膜局在・膜挙動による毒性メカニズムの解明
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11J10735
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
森田 雅宗 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アミロイドβペプチド / 細胞サイズリポソーム / 膜局在 / 膜ダイナミクス / 固体秩序相 |
Research Abstract |
研究の目的は、アルツハイマー病原因ペプチドのアミロイドβ(Aβ)の膜局在・膜挙動を解析して、Aβの毒性機構を探ることである。計画として、1,Aβの局在観察、2,Aβの膜ダイナミクスの2つの観点から研究を行い、それぞれ以下の結果を得られた。 1、相分離膜面におけるAβの選択的局在 細胞膜に見られるドメイン構造(ラフト)をベシクル膜上に再現し、重合度の異なるAβ(オリゴマー、プレ線維、線維)の膜吸着挙動を解析した。脂質には、不飽和脂質DOPC,飽和脂質DPPC,コレステロール(Chol)の3種類を用いた。DOPC/DPPC/Chol=40/40/20,50/50/0の濃度で混合し、無秩序液体相(Ld相)、秩序液体相(Lo相)、固体秩序相(So相)と3種の相状態を制御し、Lo/Ldベシクル(40/40/20)およびSo/Ldベシクル(50/50/0)の2種類を作成した。Lo/Ldベシクルでは、オリゴマーおよびプレ線維AβはLd相にのみ吸着し、線維Aβは膜に吸着しなかった。一方、So/Ldベシクルでは、オリゴマーAβはSo相とLd相の両方に吸着、プレ線維および線維AβはSo相のみに吸着した。つまり、膜の物性がAβと膜ドメインとの相互作用に重要であることを明らかにした。 2、Aβとの相互作用による膜融合ダイナミクス これまでの研究で、明らかにされた膜ダイナミクスに伴うベシクル表面積増加の分子メカニズムを探るため、Aβとの相互作用によるベシクルの膜融合について解析した。蛍光プローブをつけた脂質で作成した小さいベシクル(SUV,直径100nm)がAβ存在時に細胞サイズベシクル(GUV)に取り込まれGUVが蛍光し、AβがGUVとSUVの膜融合を引き起こすことを見出した。またGUV同士の膜融合についても実験を行い、同様にAβがGUV同士の膜融合を誘発することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の実績概要にも述べたが、本研究は2つの計画から成り立っている。それぞれで研究成果を挙げており、計画1の成果は国際論文誌に掲載済みであり、計画2の成果に関しても現在投稿中である。よって、本研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、細胞に近いモデル系(相分離リポソーム)でAβの膜局在を遂行してきた。今後は、研究計画にも記載しているが、相分離リポソームを用いた膜ダイナミクス解析を行う。得られた結果から、Aβの膜毒性機構の考察を行い、本研究の目的を達成する予定である。
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