2012 Fiscal Year Annual Research Report
ホイスラー合金の歪と電子構造、そのスピントロニクス応用
Project/Area Number |
11J10896
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
深谷 直人 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 反強磁性ホイスラー合金 / Ru_2MnGe / ネール温度 / MgAl_2O_4 |
Research Abstract |
本研究では反強磁性ホイスラー合金のスピントロニクス応用へ向けホイスラー合金を用いたトンネルデバイスを作製することで、反強磁性体を用いたスピントロニクスデバイスのポテンシャルの検討を目的とした。本年度行った以下の二つの実験結果について報告する。 (1)ホイスラー合金系バーフメタル強磁性/反強磁性接合における界面磁気結合の高温動作 ホイスラー積層膜における磁気結合は前年度の本研究成果で初めて観測され、反強磁性ホイスラー合金の磁化状態の制御が可能となった。しかしホイスラー接合では磁気結合が従来金属の接合に比べて低温でしか発現せず、最も重要な課題は室温まで磁気結合を維持させることであった。昨年度の成果で明らかになったホイスラー合金で最もネール温度の高いRu_2MnGeを用い、まだ強磁性体には構成元素の近いホイスラー合金を用いた。さらに界面構造の改善を行うことにより磁気結合は最大で290Kまで観測されており、室温付近まで動作する反強磁性デバイスの実現が十分期待できることを示している。 (2)反強磁性体を用いたトンネル磁気抵抗デバイスの特性評価 (1)で確立した高品質薄膜作製技術を用いて、反強磁性体を用いたトンネルデバイスの作製を行った。トンネルバリアの特性を示すバリア高さが起きいトンネルデバィスにおいて、反強磁性由来の磁気抵抗効果が観測された。これは反強磁性ホイスラー合金で磁気抵抗効果の発現が示された初めての例である。また従来の反強磁性膜厚3nmに対して本研究では反強磁性膜厚10nmと比較的厚い領域で磁気抵抗効果が発現しており、より反強磁性体が安定な膜厚での磁気抵抗効果の発現が示された。
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