2012 Fiscal Year Annual Research Report
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11J10899
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井手上 英司 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機合成 / 天然物合成 / アルカロイド |
Research Abstract |
ステモフォリンは、Stemona japonicaから単離構造決定されたステモナアルカロイドである。本化合物および類縁体には殺虫作用や子宮収縮抑制作用、胃の悪性腫瘍細胞に対する細胞毒性など興味深い生物活性が多く存在する。また、低分子量ながら極めて特異で複雑な骨格を有しており合成化学的にも非常に興味深い化合物である。我々は、このような本化合物の効率的初の不斉全合成を達成すべく合成研究を行なっている。 本年度は、前年度に見出したスルホキシドのアニオン環化反応の最適化をまず行った。当初はLDAを用いた条件を適応していたが、異性体が複数生成することが問題となっていた。そこで、LHMDSもしくはNaHMDSを用いた条件に変更したところ、生成物の異性体数を減らすことに成功した。続いて、Pummerer反応を行いケトンとした後、ベストマンイリドを用いた分子内Wittig反応によって5環性骨格へと導いた。 次に天然物へと導く上で、Wittig反応によって生じた二重結合の還元を試みた。水素添加反応、NaBH4を用いた1-4還元、SmI_2を用いた還元等を検討したものの、全て失敗に終わった。 そこで、別の戦略を検討することとした。すなわちアニオン環化反応の前の段階で炭素鎖を伸長した後、アリルスルポキシドへと変換してアニオン環化反応を行うこととした。まず、アルコールを酸化してアルデヒドに導いた後、ビニル基を導入してアリルアルコールへ導いた。そしてMislow-Evans転位を行うことでアリルスルポキシドへと変換した。今後はこのアリルスルホキシドのアニオン環化反応を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私はアニオン環化反応とPummerer反応、分子内Wittig反応を行うことで5環性骨格の構築を達成した。 その後の検討で還元反応が上手くいかないことが分かったが、自ら別の戦略を考えてアリルスルホキシドの環化反応を検討しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られているアリルスルホキシドを用いてアニオン環化反応を行った後、さらに変換することにより5環性化合物へと導く。さらにブテノリドユニットを導入することで、天然物の全合成を達成する。
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