2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動依存的なNeuroligin切断の分子メカニズムに関する研究
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11J10924
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 邦道 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Neuroligin / メタロプロテアーゼ / γ-secretase / 膜たんぱく質 / シナプス接着分子 / 線虫 |
Research Abstract |
<NL2の細胞外領域切断酵素の同定> NL2の細胞外領域切断プロテアーゼの候補遺伝子を探索するべくセットアップとして内因性の分泌型NL2(sNL2)を検出できる抗体が必要であった。そこでNL2の細胞外に対するラットモノクローナル抗体を作成し、内因性のsNL2を検出することが可能になった。この抗体を使用し、アデノウイルスにて初代培養神経細胞においてAdam10をノックアウトしたところ、NL1の切断は抑制されたがNL2の切断は抑制されないことがわかり、神経細胞においてもNL2の切断にADAM10は必要でないことが示された。NL2の細胞外領域切断プロテアーゼを同定すべく切断酵素の候補遺伝子を欠損させたり、阻害剤を用いたりして検討を行った。その結果、少なくともADAM8、9、10、12、15、17、19、MT-MMP1およびMMP2、3、9、13のいずれもNL2の切断に寄与していないことが明らかになった。このことから新規のプロテアーゼがNL2の切断に寄与している可能性が高いということが明らかになった。 <細胞外切断を受けないNL1変異の作製とnlg-1ノックアウト線虫の解析> NL1の細胞外領域において切断部位と予想される領域はストークドメインと呼ばれる真っ直ぐな構造を糖鎖付加によって維持されていると考えられている。変異導入によりこの糖鎖付加を失わせたところ切断が亢進した。またストークドメイン内の糖鎖付加を受けない領域をアラニン置換した場合、切断が低下した。また切断部位をマススメクトロメトリーにて同定するべくTEV-FLAG配列を導入したNL1の作成を開始した。NL切断の生理的意義を解明する目的で、NLオルソログであるnlg-1ノックアウト線虫を用いた行動解析実験を開始するため、オクラホマ医学研究財団のJames Rand博士との共同研究を開始する予定でディスカッションを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に掲げたNL1の解析について、構造化学的・薬理学的観点から解析を詰め、切断部位に関しても新たな知見を得た上で現在学術論文としてrevision中である。NL1のin vivo解析という点においても既に先行してnlg-1の研究を進めている米国研究者と新たな共同研究を行うように進めることができた。さらに世界ではじめてNL2の細胞外領域を特異的に認識するモノクローナル抗体作製に成功するなど、当初の研究計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
NL1については、生化学的にNL1の細胞外切断配列を決定し、これまでに得られた構造化学的知見と照らし合わせて切断を受けない変異体を完成させ、そのタンパク質を線虫に発現させることでin vivo解析を達成する。NL2については、未知のプロテアーゼが切断に重要である可能性から、生化学的な切断アッセイの確立に取り組むと同時に引き続きノックダウンによるスクリーニングも進めていく。
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Research Products
(2 results)