2011 Fiscal Year Annual Research Report
クルマエビのフリーラジカル生成遺伝子群の解明とこれらを指標とした早期診断への応用
Project/Area Number |
11J11175
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
稲田 真理 宮崎大学, 農学部, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 一酸化窒素合成酵素(NOS) / NADPHオキシダーゼ(Nox) / フリーラジカル / クルマエビ / 生体防御 / 殺菌・殺ウイルス / 遺伝子 / ウイルス病・細菌感染症 |
Research Abstract |
自然免疫が生体防御能の中心であるエビ類において自然免疫機能で特に重要である殺菌・殺ウイルス能をもつフリーラジカルである活性酸素種(ROS)と活性窒素種(RNS)は特に重要である。そこで、RNSの一種である一酸化窒素を合成する一酸化窒素合成酵素(NOS)およびROS生成酵素群に関する研究を行った。本研究ではエビ類における生体防御と生命維持などの統合的な生体制御機構をフリーラジカル生成酵素群の側面から明らかにし、早期疾病診断へ応用することを目的とした。 平成23年度はフリーラジカル生成酵素群の遺伝子同定、各種解析を行う計画であり、クルマエビのNOSのmRNAのバリアントおよび、ROSの1種であるスーパーオキシドを生成するNADPHオキシダーゼ(Nox)の同定に成功した。『8th Symposium on Diseasesin Asian Aquaculture-DAA VIII』にてNOSに関する研究成果を発表した際に、Poster Award(受賞課題:「Molecular cloning, mRNA variants and ability of NO generation of the Nitric Oxide Synthase Gene, MjNOS, in Kuruma Shrimp Marsupenaeus japonicus」)を受賞した。 クルマエビのNoxについて、分子系統解析において昆虫のNoxおよび脊椎動物のNox5とクラスターを形成した。発現解析において、リンパ様器官および血球でNox遺伝子の高い発現が確認された。血球をVibrio penaeicidaの死菌で刺激すると、刺激後4時間において遺伝子発現が対照区の7倍に増加し、その後低下した。以上より、クルマエビNox遺伝子は昆虫およびヒトのNox5に近縁であり、生体防御に関与する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
同定途中の遺伝子もあるが、研究は当初の計画以上に進んでいる。 最終目的を果たすために掲げた今年度の目標「エビ類のフリーラジカル生成酵素群に関する基礎的データの構築」を達成し、研究計画は至って順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画どおり、平成24年度は同定した遺伝子の発現解析、機能解析を行う。具体的には、RNA干渉による各遺伝子のノックダウン下での血球でのNOおよびスーパーオキシドの産生量を測定し、各遺伝子の機能を解析する。フリーラジカル生成遺伝子群およびシグナルトランスダクション関連遺伝子群をマルチプレックス同時発現定量解析によって解析する条件設定を行う。
|
Research Products
(4 results)