2013 Fiscal Year Annual Research Report
消化管癌の新規治療標的としてのNF-κB 関連因子の検討
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11J11187
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 啓 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | NF-κB / 抗癌剤 / 耐性化 |
Research Abstract |
消化器癌の化学療法は、分子標的薬を始めとした様々な薬剤が使用されるが、その多くは5-FU等のようなDNA損傷を引き起こす薬剤を併用する。一方、DNA損傷は制御因子IKK複合体の活性化を通してNF-κBを活性化することが報告されており、DNA損傷によるIKK/NF-κB活性化の癌細胞における意義を解析することとした。細胞のDNA損傷応答において、ATMは重要な役割を果たす因子であり、DNA損傷時のIKK/NF-κBの活性化にも関連することが知られている。そこで、ATM/IKK/NF-κBの生理的役割について観察した。前年度に引き続き、IKKβがDNA修復に果たす役割を観察した。その結果、IKKβが細胞のアルキル化刺激に応じて核内へ移行し、ATMをリン酸化することによりDNA修復の補助的な役割を果たす可能性が示された。この現象については論文化し、報告した。 一方、癌細胞の抗癌剤に対する抵抗性の獲得機序についても研究を進めた。 5-FUを添加したメディウム中で大腸癌細胞株を培養し、5-FUの耐性化を誘導した。耐性を容易に獲得する細胞株ではAktのリン酸化およびERKのリン酸化の元進が観測された。それらのリン酸化はADAMS阻害薬の添加により減弱し、更にはADAMS阻害薬により耐性化能も減弱した。 これらの機能については引き続き解析するとともに、動物モデルを使用した系も立ち上げ中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度から種々の遺伝子改変マウスを利用できる環境で研究を遂行できることとなったため、データが出そろいつつある。本年度で最終年度であり、次の研究につながる重要な知見を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
癌の性質を規定する因子として、癌細胞自身の他、癌細胞周囲の線維細胞、免疫担当細胞なども大いにかかわっていることが示されつつある。これらの相互作用を理解することがより一層の研究の進展につながると考えられる。最終年度で予想以上に多くのデータが得られたため、論文化へ着手する。
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