2012 Fiscal Year Annual Research Report
微量血液由来のiPS細胞を用いた先天性心臓イオンチャネル疾患の心筋細胞解析系確立
Project/Area Number |
11J30002
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
関 倫久 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 再生医療 / iPS細胞 / 心筋細胞 |
Research Abstract |
我々は既に樹立されている正常患者由来iPS細胞の解析により、これらの細胞がT細胞受容体の遺伝子構成を内包することをシークエンスにより遺伝子配列レベルで確認をした。これらを心筋へ分化誘導し、表現型の解析を進めた。分化プロトコールは浮遊培養系を用い、浮遊培養開始から4日目まではWnt3aを作用させ、以降はWnt3aを除き浮遊培養を継続した。同様の分化の培養系がES細胞、レトロウイルスで作製した線維芽細胞由来iPS細胞で拍動胚様体を出現させることを確認した。それらの細胞と同様に、センダイウイルスで作成したT細胞由来iPS細胞の分化において、浮遊培養開始後10-15日目頃より拍動する胚様体が出現することを確認した。我々はさらにこのようにして得られた拍動する胚様体の解析を進めた。これらの胚様体内には機能的な心筋細胞が存在し、RNAレベルで心筋特異的マーカー(GATA4、Mef2c、ANP、αMHC、βMHC、MLC2a、MLC2v、MYH6、cTNNI)を発現していること、タンパクレベルでも同様に心筋特異的マーカー(Actinin、Nkx2.5、Troponin I、ANP)が発現していることをRTPCR,免疫染色で確認した。また、これら拍動する胚様体をin-vitro多点電位記録システムであるMEAシステムのマルチ電極アレーディッシュに乗せると、1~2日で接着し、底面の電極で活動電位を記録することができた。この実験系を用いて各種抗不整脈薬(Na,Ca,Kチャネルブロッカー)に対する心筋細胞の応答性を解析した。T細胞由来の心筋細胞は遺伝子再構成を内包するため、その影響が危惧されたが、各種チャネルブロッカーに生理的な反応を示すことを確認した。さらに、これら心筋細胞は電子顕微鏡レベルで機能的心筋としての特徴を備えていることを確認した。また、皮膚由来のiPS細胞においては、先天性QT延症候群の患者由来のiPS細胞から作られた心筋細胞が、in vitroで病態の再現が可能であることを確認し、報告した。今後の更なる臨床へ向けた研究の発展を目標とし、研究を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、正常症例由来のT細胞から樹立したips細胞が、生理的な反応を示す心筋細胞に分化可能であることを確認した。また、先天性QT延長症候群患者由来の心筋のin vitroでの病態再現の系を確立し、報告した、
|
Strategy for Future Research Activity |
今後疾患由来ipsの症例を増やし解析を行うほか、T細胞由来の心筋の表現型の解析を進める。先天性の心筋障害のメカニズムを患者由来ips細胞を用いて解析を進める。
|
Research Products
(4 results)