2012 Fiscal Year Annual Research Report
視覚信号の時空間的相互作用を考慮した視覚運動情報処理の心理学的・神経科学的解明
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11J30004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹村 浩昌 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013-03-31
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Keywords | fMRI / 拡散強調画像法 / 誘導運動 / 運動視 / hMT+ / hV4 / 白質線維束 / 集団受容野 |
Research Abstract |
(1)fMRIを用いた誘導運動の神経相関の検討 平成24年度は、昨年度実施したfMRIを用いた脳機能計測の結果と、被験者の誘導運動知覚の関係性をさらに検証するため、眼球運動の測定、および心理実験を実施した。その結果、hMT+野における脳活動パターンが、眼球運動や実験中の注意状態によるものでなく、誘導運動の知覚によって生じていることが示唆された。加えて、hMT+野の下位領域であるTO-1野、TO-2野と誘導運動知覚の関係について検討した。米国Stanford大学の開発したソフトウェア(MrVista)を用い、集団受容野解析を行い各被験者におけるTO-1野、TO-2野を同定した。結果、TO-1野とTO-2野は同様に誘導運動の知覚と関連していることが明らかになった。この成果は、神経科学分野における権威ある専門誌The Journal of Neuroscienceに原著論文として掲載された。 (2)拡散強調画像を用いたヒト視覚皮質における神経線維連絡に関する研究 これに加え、平成24年度は米国スタンフォード大学のBrian A.Wandell教授との共同で拡散強調画像法(Diffusion Weighted Imaging ; DWI)を用いた研究を行った。この研究では、まずfMRIおよび集団受容野解析により、ヒト視覚皮質における視野表現を測定した。これに加えて、DWIを使用することにより、ヒト脳における白質線維束を測定した。fMRIデータとDWIデータを組み合わせた解析を行った結果、hV4野の視野表現を説明する白質線維束を同定した。その成果は来年度シアトルで行われるAnnual Meeting of the Organization of Human Brain Mappingにて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究は、誘導運動の神経相関に関するfMRIプロジェクトが当初の予定通り進行し、原著論文として無事に採択されたに至った。こればかりでなく、米国Stanford大学との共同研究を行うことにより、最新の計測・解析手法を用いた拡散強調画像法データを得る事ができた。このデータに基づき、既にhV4野の視野表現を説明する白質線維束の知見が得られており、当初の計画以上に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、取得したfMRIデータおよびDWIデータに基づき、視野表現(集団受容野)と白質線維束の投射パターンに関して、より定量的な解析を行う。また、複数回撮像した同一解像度のデータセット、あるいはより低解像度のデータセットに対して同一の解析を用いることで、解析結果の妥当性を検討する。加えて、今回解析対象となっている白質線維束が、健常者と網膜色素変性症患者の間でどのように異なるかを解析し、眼科的疾患がhV4野への入力経路に与える影響について検討する。申請者は既に東京慈恵医大、およびStanford大学眼科と共同研究を行うための打ち合わせを行っており、今後は臨床的な知見を得る事も期待される。
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Research Products
(5 results)