2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J40018
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉野 紀美香 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 皮質脊髄路 / マーモセット / 電気生理 / 定量解析 / 脊髄損傷 |
Research Abstract |
マーモセット用実験デバイスの開発 マーモセットを無麻酔下で行動実験及び電気生理学的記録を行うためにマーモセット用チェアを設計した。このチェアを用いて4頭のマーモセットへの脳固定具の取り付けを終え、チェアへの馴化トレーニングを行った。 一次運動野の手足領域の同定およびBDAの注入 本研究テーマである脊髄損傷治療の開発に用いる第4-5頚髄損傷モデルでの解析を始める前に、健常状態におけるマーモセットの一次運動野(M1)から脊髄における軸索の投射及び神経終末の局在を調べる必要がある。そこで健常マーモセット4頭を用いて、皮質脊髄路神経の解剖学的解析を目的に実験を行った。4頭に皮質内微小電極刺激法(ICMS)を行いM1における運動制御mapの作製を行った。電気生理学的に同定した手足制御領域には順行性神経トレーサー(BDA)を圧注入し、トレーサー軸索輸送期間を経て実験殺を行った。 免疫組織学的解析 4頭の脊髄においては第1頚髄から第7腰髄までを凍結切片化し、免疫染色を行い、脳においてはトレーサー注入部位であるM1を中心に標本作製を行った。脊髄における神経終末部の投射先を追うための定性的解析には、約1000枚のサンプルを用いた。カメラルシダを用いた軸索1本1本のトレーシングを行い定量的に解析する方法を予定していたが、サンプル数がマンパワーを越えている為、メタモルフを用いたデジタル解析方法も導入するべく検討を行っている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マーモセットを用いた電気生理実験は初の試みであり、長時間半覚醒下での記録を行う際に使用する鎮静剤のコントロールが困難であった。マーモセットチェアへの馴化は個体差が大きく再現性の高いデータを得るための実験条件を決めるまでに時間がかかった。よって当初計画していたマーモセットの頭数では足りず7頭の個体を使用した為、定量解析の一部が終了出来ていない。しかし実験の骨組となる部分はすべて確立出来たため、3年間の計画は順調に遂行できるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、麻酔条件によってICMSにより誘発される筋活動が大きく左右されることが分かった。そこで、マーモセットチェアへの馴化期間を長くもうける事で、使用する鎮静剤を極力抑え筋活動の誘発に影響しない条件で実験を行えるようにする。さらに目視での筋の活動部位の同定に客観性を筋電測定のデバイス開発も検討していく必要がある。また定量解析データを取得する群とは別に脊髄半切個体での詳細な電気生理実験を追加する。2頭のマーモセットに脊髄半切手術を行い、損傷前と損傷後及び機能回復後における一次運動野のmapを得たのち、脊髄を深い麻酔下で露呈させ皮質脊髄路神経を刺激した際の脊髄における応答を記録する。
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