2011 Fiscal Year Annual Research Report
エチレン受容体タンパク質の分解調節機構解明とその応用に関する研究
Project/Area Number |
11J40033
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
棚瀬 京子 (日和佐 京子) 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(RPD)
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Keywords | エチレン受容体 / 定量的PCR解析 / 1-MCP / 果実成熟 / メロン |
Research Abstract |
(実験1)では、メロン(品種 ベドランティス)の各生長段階の栄養組織、生殖組織のサンプリングを行った。また、収穫した成熟果は貯蔵実験により、エチレン生成量、果肉硬度、果皮色の変化を経時的に調査したものを随時サンプリングして解析に用いた。貯蔵実験では、果実成熟開始後にエチレンの作用阻害剤である1-methylcyclopropen(1-MCP)の処理を行う区を設け、1-MCPを処理した時のエチレン受容体の動向を調査するためのサンプルとした。全てのサンプルは、RNAを抽出後、定量的PCR解析により同定済みの3種のメロンエチレン受容体遺伝子の発現特性を調査した。 貯蔵実験では、ベドランティスメロンの日持ちが1~2日と非常に短いことが明らかとなった一方で、1-MCP処理によりその日持ちを約14日間延長できることを示した。発現解析では、CmETR1とCmETR2が他の組織より果実での発現が高いこと、CmERS1は実生および果実での発現量が高いことが示された。また、CmERS1の発現量は緑熟期に向けて増加するが、追熟期に低下し、1-MCP処理によりそのレベルはさらに抑制された。これに対して、CmETR2の発現量は果実発達期に低く、追熟期に増加した。また、1-MCP処理では抑制された。CmETR1の発現量は概ねCmETR2と同様であった。この結果より、エチレン受容体遺伝子の発現量の増減が追熟開始に関与する可能性が示唆された。また、予定している(実験4)では、追熟期に発現量の高いCmETR1およびCmETR2の受容体タンパク質の分解機構を調節することで1-MCP処理の効果を延長できる可能性が示唆された。(実験4)についてはトマトへの組換え実験に用いるエチレン受容体の導入遺伝子コンストラクトを作成中である。 (実験2)および(実験3)の実験には、保持しているエチレン受容体タンパク質の抗体に特異性があることが重要である。そこで、抗体の特異性を証明するため、様々な実験を行った。しかし現在のところ、明確な特異性を確認できていない状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
保持している抗体の特異性が明確に確認できず、次の解析に進めない状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
抗体の特異性を示すとともに、受容体タンパク質(膜タンパク質)の取り扱いを会得するため、本研究に関係する実験手法に精通している研究者と連絡を取り、指導を受ける予定となっている。これにより、研究が進むことを期待している。
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Research Products
(5 results)