2012 Fiscal Year Annual Research Report
エチレン受容体タンパク質の分解調節機構解明とその応用に関する研究
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11J40033
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
棚瀬 京子 (日和佐 京子) 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(RPD)
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Keywords | エチレン受容体 / メロン / 1-MCP / 果実成熟 / 組換え体 / 抗体 |
Research Abstract |
(実験1)メロン(品種ベドランティス)成熟果の貯蔵実験の再実験を行った。また、その際より実用的なデータとするため、1-MCPの処理濃度についても検討を行った。昨年度と同様にメロンの日持ちが1~2日と非常に短いことが明らかとなった一方で、1-MCP処理によりその日持ちを延長できることを示した。成熟エチレン生成は、0.1ppmの1-MCP処理では全く抑制されなかったが、1ppm、20ppmの処理では無処理の3分の2程度の量まで抑制された。 1ppmと20ppmで、その抑制程度は変わらなかったことから、濃度としては1ppmで十分であり、メロンの成熟エチレン生成量の3分の1はエチレン依存的なポジティブフィードバック制御下にあるが、残り3分の2はエチレンに対して非依存的な制御下にあることが示唆された。一方、果肉硬度は、0.1ppm1-MCP処理でも3日、1ppmで10日、20ppmで15日程度食べごろの状態を維持し、処理濃度に依存して長くなった。果皮色の変化は、0.1ppmで3日、1ppmで11日、20ppmで16日程度遅れた。これらのことは、果肉硬度および果皮色の変化はほぼ完全にエチレン依存的に進行する成熟現象であることを示唆した。また、現在日本で一部の果実で認可されている1-MCPの処理濃度は上限1ppmと定められているが、本研究によって、メロンでも1ppmの処理濃度で十分に棚持ちを延ばすことが可能であることが示された。 (実験2)および(実験3)の実験には、保持しているエチレン受容体タンパク質の抗体に特異性があることが重要である。しかし、昨年度に引き続き明確な特異性を確認できなかった。既存の抗体は古いものでは10年以上のもあるため、抗体の状態が悪くなっていることも考慮された。そこで、現在新しい抗体を発注している。 (実験4)についてはトマトへの組換え実験に用いるメロンエチレン受容体の導入遺伝子コンストラクトを作成し、組換え体の作出を行った。現在、倍数性、導入遺伝子、コピー数などの確認を終え、T_0個体からT_1種子の採種を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の時点で遅れていたため、全体としての進捗は遅れている、しかし、本年度新たに計画した実験については概ね順調に消化できた。また、一方で本年度も保持している抗体の特異性が明確に確認できず、抗体が必要な実験については次の解析に進めない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、当研究室で以前エチレン受容体の研究を行っていた前任者に連絡を取り、膜タンパク質(受容体タンパク質)の抽出方法、検出などの確認を行い、その上で、改めて特異性を確認する実験を行ったが、不十分な結果に終わっている。既存の抗体は古いものでは10年以上経っているものもあるため、抗体の状態が悪くなっていることも考慮された。そこで、現在新しい抗体を発注しているところである。 これによって問題が解決できることを期待している。
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Research Products
(3 results)