2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J40042
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
三島 綾子 (前崎 綾子) 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 微小管制御蛋白質 / 複合体 / チューブリン / NMR / 動的構造解析 |
Research Abstract |
(1)End-binding protein 1 (EB1)とチューブリンとの弱い相互作用における構造学的研究 EB1は、チューブリンのプラス端に結合し、チューブリンの伸長を促進する蛋白質である。NMRによる解析と共に、SPR等を用いて、EB1とチューブリンとの相互作用を調べた。まずEB1のCHドメインとC末端領域の解析から、CHドメインのチューブリン結合領域がEB1の末端のヘリックス領域と弱い相互作用をすることで、チューブリンとの相互作用を阻害していること明らかにした。また、チューブリンとCHドメインとの相互作用は、GMPCPP結合チューブリンよりも、GTPγSチューブリンの時に強くなった。これは、β-チューブリンがGTP結合にともない構造変化を起こし、それをCHドメインが認識することを示している。これらの結果を論文に投稿した。 (2)チューブリンの発現系の構築及び変異体作成 大腸菌で、安定なチューブリンの発現、精製を行う為に、重合を阻害する変異体の導入を行った。重合を阻害することにより、α,β-チューブリンダイマーの精製が可能となれば、EB1との相互作用解析、複合体での立体構造解析を試みる予定である。 (3)リン酸化Protein kinase B (PKB)の発現精製 昨年度習得したカイコを用いたタンパク質の発現・精製を用いて、PKBの精製を行った。発現系作成時、Dualベクターを用いることによって、同じベクター内に、活性化キナーゼであるPDK1を導入し、蛋白質の発現時にPKBの活性部位がリン酸化されるようにデザインした。このシステムを用いてPKBを高効率で調製することに成功した。 (4)この他、ヒトTTL1の立体構造解析、転写抑制共役因子SHARP/SMRT複合体の立体構造解析とその相互作用解析に向けた研究も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EB1とチューブリンとの相互作用に関する研究については、EB1の自己阻害やチューブリンの相互作用領域に関する論文をまとめることができた。大腸菌を用いたチューブリン発現系の確立については、現在、変異を導入することにより、重合を阻害するチューブリンの発現、精製に向けて研究を進めている。この発現系の確立に成功すれば、さらに詳しくEB1との相互作用を解析することができる。また、TTLについても一残基変異を導入することにより、劇的に安定性を向上することができており、次年度は立体構造解析を進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
チューブリンについては、重合することが問題となり、相互作用蛋白質との詳細な相互作用解析や複合体での立体構造解析を進めることが難しくなっている。そこで、現在、重合を阻害するチューブリン蛋白質の発現系の確立を試みており、これに成功すれば、チューブリンと相互作用する蛋白質と複合体の立体構造解析や詳細な相互作用の解析を進めることができる。 TTLについては、蛋白質の安定性が低く、大腸菌での発現、精製が難しかったが、一残基変異を導入することにより、安定なタンパク質を精製することができるようになった。この蛋白質を用いて、NMRを用いた動的構造解析に向けた実験を行っていく。
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