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2012 Fiscal Year Annual Research Report

シナプス開口放出を担うシンタキシン1A、1B分子の機能の違いとその原因の探索

Research Project

Project/Area Number 11J40157
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

渡邊 裕美  新潟大学, 医歯学系, 特別研究員(PD)

Keywordsシンタキシン1 / CaMKII / SNARE複合体 / コンプレキシン / 前シナプス可塑性
Research Abstract

自己リン酸化型カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIα(CaMKIIα)との相互作用を阻害する遺伝子変異を導入した変異型シンタキシン1A(R151G)-ノックイン(KI)マウスを用いて、シナプス開口放出におけるシンタキシン1A-CaMKII相互作用の解析を行っている。昨年度までの結果から、シンタキシン1Aが前シナプスにおけるCaMKII活性の制御分子として働いている可能性が示唆されていた。本年度、共同研究による電気生理学的解析から本マウスにおける前シナプス可塑性の変化の全体像があきらかとなった。これまでに申請者により得られた生化学的実験結果と総合し、CaMKIIによるSNARE複合体を介する前シナプス可塑性の新たな分子基盤が示された。以下のその概要を記す。
1.KIマウスシナプトゾームを用いた抗シンタキシン1A抗体による免疫沈降実験の結果、
(1)KIマウスではシンタキシン1AとCaMKII結合の減少が著しく減少していることが示された。
(2)KIマウスでは野生型に比べ、シンタキシン1Aとコンプレキシンの結合が減少していた。Baculovirus発現系によるin vitroの再構成系においても同様の結果が得られた。
2.海馬スライスを用いた電気生理学解析によりKIマウスはBasa1な神経活動に異常は見られないが、持続刺激を与えた際に野生型と異なる短期可塑性を示すことが明らかとなった。具体的には、KIマウスでは、持続刺激時に前シナプスに通常見られる抑制的変化が減弱していた(すなわち、持続刺激時の神経活動性が亢進していた)。
CaMKIIは後シナプスにおける長期シナプス可塑性を制御することがよく知られており、そのメカニズムについても数多くの研究がなされてきたが、本研究で示されるような前シナプス可塑性への関与については殆ど明らかとなっていなかった。我々の結果は神経活動にともない高度に自己リン酸化したCaMKIIがSNARE複合体の一員であるシンタキシン1Aと結合することで前シナプス可塑性を抑制的に制御していることを明らかにした。さらに、この制御にSNARE結合蛋白コンプレキシンが関与することを示した。これは開口放出の実行にあたるSNARE分子自身がシナプス可塑性の制御に関与するという新たなメカニズムをも示している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度、申請者は、頻回刺激に対応してシナプスの伝達効率が変化する前シナプス性短期可塑性(presynaptic short-term plasticity)現象を制御する新たな分子基盤として、上述のように、自己リン酸化CaMKII-シンタキシン1A結合の重要性を明らかにし、論文として投稿する段階に至った。

Strategy for Future Research Activity

シンタキシン1Aによる前シナプス可塑性の制御機構の分子基盤をより明確に示してゆく。1.本KIマウスで見られるシンタキシンlA-自己リン酸化CaMKII結合の阻害と、シンタキシン1A-コンプレキシン結合の減少の相関性をより明確に示す。2.本KIマウスで明らかとなった前シナプス可塑性制御に関連するシンタキシン1Aとコンプレキシンの結合部位についての解析を行う。3.本KIマウスおよび野生型マウスの初代海馬神経培養系でシンタキシン1B,1Aのノックダウンを行い、シンタキシン1A(R151G)変異がシンタキシン1Bに相補されうる性質のものかを明らかにする。同時に海馬におけるシンタキシン1A、1B分子の神経細胞のサブタイプによる局在の違い、ならびに、CaMKIIアイソフォームの共局在性を明らかにしたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] シンタキシン1A(R151G)KIマウスにおけるSNARE複合体構成の変化2012

    • Author(s)
      渡邊裕美
    • Organizer
      第85回日本生化学会大会
    • Place of Presentation
      マリンメッセ福岡(福岡)
    • Year and Date
      2012-12-15
  • [Presentation] シンタキシンIA-コンブレキシン結合はシンタキシンのR151G変異により減少するが、CaMKII阻害剤KN93による影響は受けない2012

    • Author(s)
      渡邊裕美
    • Organizer
      Neuroscience2012 (第35回日本神経科学大会)
    • Place of Presentation
      名古屋国際会議場(名古屋)
    • Year and Date
      2012-09-21
  • [Remarks]

    • URL

      http://www.med.niigata-u.ac.jp/bc2/study/index.html

URL: 

Published: 2014-07-16  

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