2011 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の腹ビレの多様性をもたらした進化的法則性の解析
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11J40211
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中谷 友紀 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 真骨魚類 / 腹ビレ / 筋肉 / トランスジェニック |
Research Abstract |
魚類の対ヒレである腹ビレの形成位置は、進化が進むにつれ、体幹部前方(頭側)に移動する傾向にある。申請者は、腹ビレの形成位置の多様性をもたらした要因として、ヒレの筋肉を構成する筋前駆細胞に着目した。 本年度は、腹ビレの筋肉を生きたまま観察できるトランスジェニックゼブラフィッシュを作製し、腹ビレの筋肉を形成するまでの筋前駆細胞の挙動を明らかにすることを試みた。 ヘマトキシリンエオシン染色を用いた組織切片による観察の結果、ゼブラフィッシュの腹ビレの筋肉は筋節とはつながっていないこと、また、ホールマウントin situハイブリダイゼーション法による発現解析実験から、ゼブラフィッシュの腹ビレの筋肉は独立して形成されていることが明らかになった。 次に、ゼブラフィッシュ腹ビレ形成に関わる遺伝子の制御領域にEGFPのcDNA配列をつなげたコンストラクトを導入した、トランスジェニックゼブラフィッシュを作製した。VISTAブラウザを利用して、魚類のゲノム上の領域を比較解析し、種間で保存された非コード配列(conserved non-coding element: CNE)を抽出した。各CNEとミニマムプロモーターにEGFPのcDNA配列をつないだコンストラクトを作製し、ゼブラフィッシュ受精卵に顕微注入した。その結果、腹ビレの筋肉形成に関わる前駆細胞でEGFPが発現しているトランスジェニックゼブラフィッシュをみつけることができた。今後はトランスジェニックゼブラフィッシュを用いて、腹ビレの筋肉形成過程を詳細に調べていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画に従って、ゼブラフィッシュの腹ビレの筋肉の挙動を生きたまま観察できるトランスジェニックゼブラフィッシュの作成を行い、腹ビレの前駆細胞で発現がみられるゼブラフィッシュを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、得られたトランスジェニックゼブラフィッシュを用いて、腹ビレ形成に関わる前駆細胞の挙動を明らかにし、遺伝子の発現解析や比較ゲノム解析等をさらに進めていきたい。
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