2012 Fiscal Year Annual Research Report
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11J40240
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 佐江 (志水 佐江) 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員-RPD
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Keywords | 頂芽優勢 / 分枝 / 休眠 / 腋芽 / FAD-binding domain containing-protein / オーキシン / エンドウ / イネ |
Research Abstract |
無傷の植物では、頂芽が優先的に成長し腋芽の成長は抑制されている。この現象は頂芽優勢と言われ植物生理学では最も古くから知られている現象の一つである。何らかの傷害により頂芽が損傷して成長することが不可能になると、休眠中の腋芽は頂芽に代わって直ちに成長を始める。そこで、腋芽の休眠過程に関わる遺伝子群を単離・同定することにより、腋芽の「休眠への移行段階」において遺伝子レベルで何が起きているかを明らかにしようとした。これまでの解析により、腋芽の休眠移行時期に特異的に発現するエンドウPsAD4遺伝子を同定した。PsAD4遺伝子は、植物特異的FAD-binding domain containing-proteinをコードしており、細胞内物質の酸化還元反応に関わっていることが推測された。エンドウPsAD4遺伝子と相同遺伝子はイネでは3つあった。そこでそれぞれの遺伝子破壊株の表現型を観察したが、特に目立った表現型を示さなかった。従って、それぞれの遺伝子がお互い相補しながら働いている可能性が考えられた。 分化・成長を行っている腋芽が休眠へ移行するには、腋芽のメリステム活性の活動期→休止期への相転移が起こっていると考えられる。メリステム活性の維持にはホメオボックス遺伝子といわれる転写因子群が関わっていることが知られている。ホメオボックス遺伝子群の機能解析が腋芽メリステムの活動・休止の分子機構の解明に必要であると考えた。そこで、その中の一つであるWUSCHEL-relatedhomeobox gene,NAL2/3遺伝子の機能解析を行った。イネ,NAL2/3遺伝子の破壊株は葉が細く、電子顕微鏡による観察結果により葉の端の構造が欠損していることが分かった。その一方、NAL2/3遺伝子を過剰発現させたイネの形質転換体は葉が太くなる表現型を示した。in situ hybridization法による解析によりNAL2/3遺伝子は葉の端で発現していた。以上の結果を考え合わせると、NAL2/3遺伝子は葉の端の構造形成に関わっていることが明らかになった。この研究成果は学術雑誌Plant Cell Physiologyに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進展状況が交付申請書の年次計画にほぼ従っている点。さらに、本研究成果の一部を査読付き学術雑誌に発表することが出来た点。
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Strategy for Future Research Activity |
腋芽の休眠移行期に特異的に発現するPsAD4遺伝子の機能解析のため、イネの相同遺伝子の破壊株の表現型を解析したが、目立った表現型は見られなかった。そこで、多重遺伝子破壊株を作成することと、共通配列をターゲットとしたRNAi法による遺伝子破壊株の作出を行う予定である。
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[Journal Article] Two WUSCHEL-related homeobox genes, narrow leaf2 and narrow leaf3, control leaf width in rice.2013
Author(s)
Ishiwata A, Ozawa M, Nagasaki H, Kato M, Noda Y, Yamaguchi T, Nosaka M, Shimizu-Sato S, Nagasaki A, Maekawa M, Hirano HY, Sato Y
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Journal Title
Plant Cell Physiology
Volume: (印刷中)(in press)
DOI
Peer Reviewed