2012 Fiscal Year Annual Research Report
電子線を用いた高分解能ハイパー核崩壊パイ中間子分光
Project/Area Number |
11J56062
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永尾 翔 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2011 – 2013-03-31
|
Keywords | ハイパー核 / パイ中間子分光 |
Research Abstract |
申請者は、電磁生成したハイパー核の中間子弱崩壊により放出されるパイ中間子の運動量測定からハイパー核の質量を決定する実験を行っている。この実験は、~30keV/c2という非常に高い精度で軽いハイパー核の質量絶対値を決定できる。これにより、近年議論になっているΛ粒子-核子間相互作用の荷電対称性の破れの議論に重要となる情報を引き出すことが可能となる。 本研究では、パイ中間子の運動量測定と、K+中間子識別を同時に行う。2011年度に実施したテスト実験の結果、K+中間子識別側の係数率が非常に高く、K+中間子の収量と識別能力に大きな影響を与えていることがわかった。2012年度の実験では、この問題を解決するべく、陽電子遮蔽用鉛シールド・新エアロジェルチェレンコフ検出器・TOF検出器配置の最適化を行った。 申請者は詳細なシミュレーションを行い陽電子遮蔽用鉛シールドの厚さ・大きさ・配置を最適化し、実際に配置した。 また、エアロジェルチェレンコフ検出器の設計・製作・性能評価を行い、物理データ取得実験で使用した。 さらに、TOF検出器の配置を最適化することにより、TOF検出器間の距離を広くし、粒子識別能力を向上させた。 申請者は、2012年7月13日より約2ヶ月、9月26日より約3ヶ月、現地に渡航し、上記に挙げた改良を行った。さらに、2012年10月24日よりハイパー核崩壊π中間子分光実験を行い、物理データを取得した。本年度の実験では、2011年の同実験と比較してKaosの係数率を1/30に抑えつつ、K+中間子収量を4倍にすることができた。 データ取得後直ちに解析に移り、各検出器の解析用パラメータの調整を行った。その結果、2011年の実験では非常に困難であったK+中間子同定も成功し、4ΛHと思われるピークを確認できた。
|
Research Products
(18 results)