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2011 Fiscal Year Annual Research Report

国際法学における少数者の保護と「人権」概念再考

Research Project

Project/Area Number 11J56103
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

木村 元  東北大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC2)

Keywords国際法 / 少数者 / 常設国際司法裁判所 / 国際連盟 / 人権
Research Abstract

本年度は、博士論文「国際法学における少数者の保護と『人権』概念再考」の執筆に取り組んだ。
一国の国内における「人種(ないしは種族)的、言語的、宗教的少数者」の保護は、国際法におけるもっとも古くからの関心事項であったし、現代においても、世界のありとあらゆるところで「少数者」の保護をめぐっては争いが絶えない。まず、本研究では、国際連盟期における少数者保護制度、とりわけ、国際連盟と主として東欧諸国とが締結した少数者保護諸条約に焦点を当てた。なかでも、国際連盟期の少数者保護制度の目的および機能について説明するにあたり、もっとも有名な判示として現代の国際人権法学者によって頻繁に引用されている、常設国際司法裁判所(PCIJ)の1935年の勧告的意見を取り上げた。現代の国際法学者のなかには、この勧告的意見に今日の「積極的措置(affirmative action)当の萌芽を読み取る者もある。しかし、この勧告的意見をより内在的に検証したならば、この勧告的意見において判断を分けたのは、現代の国際法学にける「人権」概念ではなく、少数者の保護というヴェールに包まれた「国家」対「国家」、すなわち、少数者保護制度の政治性であったことがわかる。この勧告的意見の分析につづき、少数者の保護の問題をめぐるPCIJの他の事件についても詳細に検討を加えた。
現代の国際法学における少数者の保護は、第2次大戦後の「人権」概念をもって説明される。国際連盟期の少数者保護制度は、「人権」概念における少数者の保護の前史として簡単に記述されることはあっても、それ自体が研究の対象とはされてこなかった。一方、国際政治学の文脈では、国際連盟の「失敗」として国際連盟期の少数者保護制度についての研究がなされてきた。これらを踏まえ、本研究では、これまで国際法学が焦点を当ててはこなかった国際連盟期の少数者の保護の法的な側面を描写した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

常設国際司法裁判所(PCIJ)の事件の整理、また各事件に関する二次資料の収集および分析を行うという本年度の研究計画については、おおむね順調に達成することができた。また、第2次大戦後の少数者保護制度と「人権」概念についても、文献の収集および精読を行った。本年度は博士論文の執筆に注力したため、業績の公刊には至らなかったが、平成24年度に博士論文を提出し、いくつかのトピックについて別個の論文として公表する下地ができた。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度には博士論文を提出する。博士論文で取り上げる事項についての整理・分析はほぼ完了しているので、今後は、さらにそれらを補完する資料の収集・分析を行い、博士論文を完成させることに専念する。

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Published: 2013-06-26  

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