2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜輸送とアクチン細胞骨格の協調による細胞運動の制御機構
Project/Area Number |
11J56333
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
翁 良 名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Girdin / エンドサイトーシス / ダイナミン / 細胞骨格 / 細胞運動 |
Research Abstract |
発生や腫瘍の進展において、膜輸送機序が細胞運動を制御する分子機構については明らかになっていない。本研究の目的は細胞運動に重要なアクチン結合分子Girdinとその結合タンパク質ダイナミンに関する研究を基軸として、エンドサイトーシスとアクチン細胞骨格の協調による細胞運動の制御機構を解明することである。平成23年度は以下の点について明らかにした。 (1)Girdinとダイナミン分子の結合様式の解明 大腸菌でGirdinの各種機能ドメインのフラグメントを精製し、in vitro結合アッセイにより結合ドメインを同定した。その結果、GirdinのN末端ドメインにダイナミンが特異的に結合することを明らかにした。同様の結果を免疫沈降法によっても明らかにした。 (2)Girdinがダイナミン分子の機能(GTPase活性)に与える影響の生化学的検討 精製したGirdinのN末端ドメインとダイナミン分子を用いて、ダイナミンのGTPase活性に与えるGirdinの影響を検討した。その結果、GirdinのN末端ドメインがダイナミンのGTPase活性を有意に上昇させることが明らかになった(本研究は聖マリアンナ医科大学微生物学教室三好洋博士との共同研究である)。 (3)エンドサイトーシスにおけるGirdinとダイナミン分子の結合の重要性 Girdinの発現をRNA干渉法で抑制したところ、HeLa細胞におけるトランスフェリン受容体のエンドサイトーシスが有意に障害された。またGirdinのN末端ドメインをトランスフェクションした場合においてもエンドサイトーシスを抑制した。本結果についての意義は不明であるが、上記の生化学的解析の結果もあわせると、GirdinのN末端ドメインの強制発現により内因性のGirdinとダイナミンの結合が競合的に抑制されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Girdinとダイナミンの結合様式について生化学的解析の結果、責任ドメインを決定することができた。両者の結合の細胞生物学的な意義についても、HeLa細胞を用いた細胞生物学的な解析により、トランスフェリン受容体のエンドサイトーシスを制御することを示した。加えて、GirdinがダイナミンのGTPase活性に与える影響についても興味深い結果を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、Girdinとダイナミンの結合がどのようにエンドサイトーシスを制御しているのか、主に培養細胞を用いた細胞生物学的アッセイと精製タンパクを用いた生化学的手法により明らかにする。特にエンドサイトーシスされる分子にはトランスフェリン受容体の他に様々な分子(EGF受容体、インテグリン、カドヘリンなど)が知られているので、それらについても詳細に検討する。Girdinのノックダウンがエンドサイトーシスに与える影響の詳細について、特にタイムラプスや全反射顕微鏡で検討する予定である。
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