2011 Fiscal Year Annual Research Report
オゾンをゲスト物質とするクラスレートハイドレートに関する研究
Project/Area Number |
11J56572
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
室町 実大 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガスハイドレート / オゾン / 二酸化炭素 / 相平衡 / 物性 |
Research Abstract |
オゾンをゲスト物質とするクラスレートハイドレートに関する研究について、本年度は物性測定を中心に取り組んだ。オゾンは酸素中で放電することによって得られる。この原料ガスを用いてクラスレートハイドレート(以下ハイドレート)を生成するためには、0℃付近で10MPa程度の低温高圧条件が必要となり、産業上実用的ではない。一般的にハイドレートの生成条件は、より高温低圧の条件でハイドレートを生成する物質(ヘルプゲスト物質)と混合することで高温低圧化される。オゾンをゲスト物質とするハイドレート(以下オゾンハイドレート)では、生成条件を常温常圧に近づけるために、現在まで様々な物質がヘルプゲスト物質として加えられてきた。近年、二酸化炭素をヘルプゲスト物質に用いてオゾンハイドレートを生成することに成功し、実用化に大きく近づいた。本年度の研究では、このオゾンハイドレートの、未だ明らかにされていなかった生成条件を解明した。 産業利用を考え、温度0℃付近、圧力4MPa以下の範囲で生成条件を探索した。本条件下ではすべてのゲスト物質は気体状態であり、その組成により生成条件は変化するため組成をコントロールする必要があった。そこで上述の温度・圧力範囲から、気相中のCO_2のモル分率を~0.9,~0.8,~0.7としたときの生成条件を測定することとした。実験を行った結果、各気相組成について8点、計24点の生成条件を測定し、オゾンのように化学的に不安定な物質を含む系の熱力学物性値を、高い信頼性の下で報告することができた。さらに、0℃付近においてはどの組成においても2MPa以下の圧力でオゾンハイドレートを生成できることが分かった。このことから、従来の報告にある原料ガスのオゾン濃度から高濃度化することにより、圧力を大きく変更することなくハイドレート中のオゾン濃度を向上させることができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の大目的は、オゾンのハイドレート生成についての熱力学パラメータの決定である。そのために物性値を揃える必要があるが、この実験は本年度でほぼ完了しており、来年度の早々に終了する予定である。熱力学パラメータの決定方法についての検討も進んでおり、年内にも結果を報告できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
物性値の測定実験については本年度で手法を確立でき、問題なく進捗している。熱力学パラメータの決定については、所属研究室での経験が浅く、手法が確立できているとは言い難い。そのため、来年度は物性推算手法のノウハウを習得すべく、これを専門に行っている研究室へと出張を行う予定である。また、さらなる課題として、オゾンハイドレート生成プラントを模擬した実験系において、連続的なオゾンハイドレート生成/抽出の実験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)