2011 Fiscal Year Annual Research Report
生物のパターン形成過程にヒントを得た新しい応用モデルの構築
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11J56612
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山口 将大 明治大学, 大学院・先端数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メッシュ生成 / 数値シミュレーション / 反応拡散系 / 自己組織化 / 偏微分方程式 / 有限要素法 |
Research Abstract |
本年度は、形態形成を記述した数理モデルである反応拡散系の自己組織化機構を利用した、新たな数値計算用メッシュの生成手法を開発した。提案したメッシュ生成手法は既存の幾何的な情報を用いた方法とは異なり、反応拡散系という偏微分方程式の解が持つ自己組織化機構を直接利用するもので、これまでにない新しい手法である。 提案手法の実装例として、2次元連結領域を三角形要素分割するプログラムを作成した。このプログラムでは、任意の連結領域をビットマップ形式の画像ファイルとして入力することで、領域を分割する要素情報(要素構成節点とその座標情報)を出力する。一般に、数値計算の対象となる解析領域などの指定は、方程式での記述などが必要であり煩雑である。しかし本手法では、領域形状やメッシュの部分的な疎密を画像ファイルによって直感的に指定することができる。また、反応拡散系の特性により自己調節的に要素構成節点群が生成されるため、解析領域に柔軟に対応して領域が分割される。本手法によって生成された数値計算用メッシュと既存の手法によって生成されたメッシュとの比較を行うと、本手法によって生成されたメッシュは要素形状、大きさの均一性、優れた配向性が見られた。本手法は複雑な条件を満たす良質なメッシュを簡易かつ安定に生成することができる。現在、本研究をまとめた論文を投稿準備中である。 上記結果はパターン形成のメカニズムをメッシュ生成に直接応用したものであるが、良好な結果とその柔軟性が改めて示された。生物や自然現象を模した数理モデルを応用することで、応用法にも生物や自然現象の持つ柔軟性やロバスト性を与え、既存の方法では困難な問題を解決することが可能となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究内容については外部からも高い評価を得ており、研究の進捗状況はおおむね順調と考える。また、その論文公表に向けた作業においては遅れが出ているが、近日中の公表を予定している。よって、全体として当初の計画以上の進展とは言えないが、おおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
第一にメッシュ生成手法の開発に関しては論文発表をもって成果を公表する。 続いて骨のリモデリングに関する研究を推進する。現在、ネットワーク構造が存在すると仮定した上で、骨リモデリングの時間発展をシンプルに記述したモデルを中心に研究を行っているが、ネットワーク構造の形成過程を含めたより現実に近いモデルを構築することを目標とする。具体的にはネットワーク構造の形成過程を記述したとする先行研究にあるモデルを参考にし、自身が構築したネットワークモデルとの融合を検討する。
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Research Products
(1 results)