2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12002004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 明男 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70112670)
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Keywords | ポリオウイルス / 感染モデルマウス / ポリオウイルス受容体 / 体内伝播 / 血液脳関門 / 神経軸索輸送 / 神経病原性 / IRES |
Research Abstract |
ポリオウイルス(PV)の感染力を失うことなく、PV粒子を蛍光標識することに成功した。このように1粒子イメージングの基盤を築くことが出来た。 PV感染に応答し、神経細胞が産生するPV IRESの阻害物質の活性をin vitro蛋白合成系で検出することに成功した。また阻害物質の産生を促すPV遺伝子産物は2Aプロテアーゼであることを証明した。 ヒトPV受容体(PVR)を持つトランスジェニック(Tg)マウスは、経口感染が成立しない。そこでインターフェロン受容体KOマウスと交配させたところ、経口感染が成立するマウスの作出に成功した。 各種の欠陥干渉(DI)粒子を作製し、神経細胞およびHeLa細胞に対する細胞毒性を検討した。その結果、神経細胞への細胞毒性は観察されず、1度のPV感染では細胞変性効果(CPE)発現には到らないという我々の考えを支援する結果となった。なお、HeLa細胞はDI粒子感染によりCPEを起こす。この研究過程で、2Aプロテアーゼコーディング領域を欠損させてもRNA複製は起こることを見出した。2AプロテアーゼはCPE発現の中心的役割を担っていると考えられているので、この2Aプロテアーゼ欠損PVをHeLa細胞に感染させたところCPEはほとんど観察されなかった。以上の結果は、PVを基礎とした安全な発現ベクターの開発につながる可能性を強く示唆している。 PV IRESの活性は、3'非翻訳領域により制御されていることが知られている。このことを示す実験系を世界で初めて確立することに成功した。 さらに、ヒトPVRのヒト分子としての機能を解析し、そのリガンドの刺激により、細胞の接着性が阻害されること、また細胞の移動性が促進されることを見出した。2種類のヒトPVR(PVRαとPVRδ)のうちPVRαのみにこの活性があり、PVRαのみに存在するITIMモチーフの作用であることを明らかにした。
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[Publications] I.Pelletier et al.: "Characterization of the poliovirus 147S particles : new insights into poliovirus uncoating"Virology. 305(1). 55-65 (2003)
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[Publications] M.Ida-Hosonuma et al.: "Host range of poliovirus is restricted to simians because of a rapid sequence change of the poliovirus receptor gene during evolution"Arch.Virol.. 148. 29-44 (2003)
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[Publications] A.Yanagiya et al.: "Tissue specific replicating capacity of a chimeric poliovirus that carries the internal ribosome entry site of -----"J.Virol.. 77(19). 10479-10487 (2003)
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[Publications] T.Fujiyuki et al.: "A novel insect picorna-like virus identified in the brain of aggressive worker honeybees"J.Virol.. 78(3). 1093-1100 (2004)
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[Publications] N.Nagata et al.: "A poliomyelitis model through mucosal infection in transgenic mice bearing human poliovirus receptor, TgPVR21"Virology. (in press). (2004)
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[Publications] S.Ohka et al.: "Receptor (CD155)-dependent endocytosis of poliovirus and retrograde axonal transport of the endosome"J.Virol.. (in press). (2004)