2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯の形態の個体レベルでの解析による先史・原史時代日本列島住民の地域性と系譜
Project/Area Number |
12012223
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
松村 博文 国立科学博物館, 人類研究部, 主任研究官 (70209617)
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Keywords | 縄文 / 弥生 / 古墳 / 日本人 / 歯 / 地域性 / 起源 / 形態 |
Research Abstract |
弥生時代から現代に至るまで、大陸からの渡来系集団の遺伝子がどのように拡散していったのか、土着の縄文系集団との混血の度合いが各時代を通じてどのように変遷してきたのか、地域による混血率の違いはいかなるものか。渡来系集団と縄文系集団の歯の形態にみられる相異にもとづいて、これらの問題の解明を試みた。分析手段としては、歯冠計測値を用いた判別分析を適用し、各時代や地域の人骨が、土着系あるいは渡来系のどちらのタイプに近いがを判定するという方法を用いた。結果として、弥生時代には少なくとも東海地域から関東西部の太平洋側地域、さらには長野県にいたる中部地域にも渡来系の人々が来ていたことや、古墳時代では、東に向かって渡来人の遺伝的影響が小さくなるという明瞭な西高東低の勾配が示された。関東地方における時代的変遷をみると、古墳時代から中世へと渡来系タイプの率が減じており、江戸時代になると再び増加に転じた。このことから、近世においても渡来人の遺伝子の西から東への拡散がつづいていたものと考えられた。沖縄では関東に比べて渡来系タイプの割合が約15%ほど小さく、関東の中世とほぼ同等である。これらの分析結果は、直接混血率を示すものではないが、混血率を反映しているものとあえて仮定すると、土着系と渡来系集団の遺伝子の割合は、関東の現代人では概ね3:7、沖縄が4:6、北海道アイヌが7:3という比率が推定される。一方、縄文人の起源については、歯と頭骨計測値の両面において先住オーストラロ・メラネソイド系集団と北方モンゴロイド系集団の混在が認められる新石器時代のインドシナ半島の集団に類似することが明らかになった。このことから、後の日本人のみならず縄文人自身も、後期旧石器時代に大陸辺縁部における先住南方系集団と北方拡散系集団の混血によって形成されたのではないかという可能性が浮かび上がった。
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[Publications] Matsumura,H.: "Origins of Southeast Asian people as viewed from cranial and dental morphology."Asian Primatology,. 1. 149-160 (2000)
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[Publications] Matsumura,H.: "Reconstructing human population history of Southeast Asia from cranial and dental characteristics perspective."National Science Museum Monographs, Tokyo. 18. 183-188 (2000)
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[Publications] 松村博文,D.Tumen,高井正成: "チャンドマン遺跡出土の青銅器時代人骨の形質人類学的研究"ヒマラヤ学誌. 7. 223-229 (2000)
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[Publications] 松村博文: "瀬戸内、東海および関東地方縄文人の歯牙計測値における時期間、遺跡間および個体間変異."国立科学博物館専報. 32. 175-187 (2000)
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[Publications] Matsumura,H.,Anezaki,T.,and Ishida,H.: "A morphometric analysis of Jomon skeletons from the Funadomari Site on Rebun Island, Hokkaido, Japan."Anthropological Science. 109. 1-21 (2001)
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[Publications] Matsumura,H,Cuong,N.L.,Thuy,N.K and Anezaki,T.: "Dental Morphology of the Early Hoabinian, the Neolithic Da But and the Metal Age Dong Son Cultural People in Vietnam."Zeutschrift fur Morphologie und Anthropologie. 83. 1-15 (2001)