2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12014204
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 健二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40272661)
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Keywords | 時間反転不変性 / CP非保存 / 電気双極子能率 / 中性子 / スピンメーザー / 能動帰還型メーザー / 光検波ESR法 / スピン緩和時間 |
Research Abstract |
本研究は中性子の永久電気双極子モーメント(EDM)を、その崩壊寿命や蓄積容器壁での吸収に起因する限界に制限されずこれをはるかに越える精度で決定するのに有用な、新しいタイプのスピンメーザーを提案し、これを実証することを目指している。すでに平成11年度の研究において、このメーザー発振を、^<129>Xe気体をモデル物質としスピン歳差検出をコイルによって行なうという間接的方法でではあるが、このタイプのメーザーが実際に発振することを示すデータを得ている。本年度はこれを、(中性子の場合に要求される)コイルにたよらない方法で実証するため、以下の研究を行った。 まず^<129>Xe核スピンの歳差を感度よく検出する方法として、低エネルギー偏極中性子ビームをプローブとしてその捕獲ガンマ線を検出する方法、およびXeガス中に混入したRb原子をプローブとしてレーザー光の透過度の時間変化から検出する方法、の2種を検討した結果、後者の方法が精度および追随性の上で優れているとの結論を得た。次いでこの結果に基づき、レーザー光源、およびレーザー光の円偏光成分に変調をかける光弾性変調器(PEM)を導入、ロックイン検波方式によりXe核スピンの歳差シグナルをRb原子の最偏極効果を通じて検出する計測系を構築した。これまでにRbのスピン偏極度を磁気共鳴の手法で操作することにより、既知の偏極度変化条件でテストを行なった結果、Rbスピンからの明確なシグナルが得られている。しかしまだPEM由来のノイズが高感度化を阻んでおり、今後PEMの反射抑制コーティングによりこの問題を解決し、^<129>Xe核スピンの歳差シグナルを得て本研究の目標である能動型スピンメーザーの非誘導型歳差検出による動作検証とその特性解析を行なう予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Asahi,H.Yoshimi,K.Sakai et al.: "Fundamental Physics with Polarized Nuclear Spins - New Type of Spin Maser for the Neutron EDM Measurements"Czechoslovak Journal of Physics. 50 Suppl.S1. 179-186 (2000)
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[Publications] K.Asahi,H.Ogawa,K.Sakai et al.: "Nuclear Moments Measurements with Polarzed Redioactive Beams"Proceedings of the Fourth International Workshop on Laser Spectroscopy on Beams of Radioactive Nuclei. 127-134 (2000)
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[Publications] 旭耕一郎: "Nuclear and fundamental physics with spin-polarized nuclei"原子核研究. 44巻・4号. 45-63 (2000)
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[Publications] A.Yoshimi,K.Asahi,K.Sakai et al.: "Novel spin maser mechanism studied for high-precision measurement of neutron electric dipole moment "AIP Conference Proceedings. (出版予定). (2001)