2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12014215
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
稲垣 隆雄 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (60044757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 喜男 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50013397)
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Keywords | 光電子増倍管 / 量子効率 |
Research Abstract |
素粒子・原子核・宇宙線の実験にとってきわめて切実な課題の一つである光電増倍管の量子効率の向上を、カソード面形状の変更と入射光の反射によって図ることがこの研究の目的である。具体的には、2インチヘッドオン型光電増倍管の受光ガラスの内面(カソード材塗布面)を1mmピッチで90度の開き角でプリズム状に削りカソード塗布面を増加させ光電子の放出を増加させると共に、カソードと第一ダイノード間にある電界形成用の電極・グリッド等に反射材を塗布し反射光の光電効果を付加しようとした。汎用でかつ時間分解能を考慮して受光ガラス内面が球面状の光電増倍管(Hamamatsu-R329)の改造なので、製作上若干の問題はあったが、5本の試験的製作が達成できた。標準光源を使った測定では、分光特性において、製作した5本全ての光電子増倍管で、全ての波長域で量子効率の向上が観測された。現在、アイソトープ線源を使ったプラスチックシンチレーターからの光(理想状態でなく、実用に近い)を使って量子効率向上を確認し、量子効率の向上ファクターと共に、劣化が予想される時間分解能がどの程度あるのかという点に注目して調べている。それは、プリズム光電面の場合は山・谷での電界強度のばらつきで光電子の初速にばらつきが生じ、光電子増倍管の時間特性を劣化させる可能性があり、ミラーの場合は、最初に突き抜けて反射で戻った光は遅れるので、なにがしかの時間特性の劣化が必然的に予想されるからである。結論は詳しい解析を待たねばならないが、この点でも概ね良好な結果が得られつつある。
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