2000 Fiscal Year Annual Research Report
SQUID-NMRによる重い電子系超伝導体単結晶の研究
Project/Area Number |
12016208
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
小堀 洋 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (10153660)
|
Keywords | NMR / 超伝導 / 重い電子系化合物 / CeRhIn_5 |
Research Abstract |
超伝導体の核磁気共鳴(NMR)はナイトシフトの温度変化からスピン帯磁率の変化を通し、クーパー対の対称性について調べる事ができ、また核スピン格子緩和時間(T_1)より超伝導エネルギーギャップの異方性に関して情報を得られる有力な方法である。その場合、表皮効果を避けるために、低周波数NMR測定が強く望まれている。このような条件では、SQUID-NMRは非常に有利である。本研究でSQUID-NMRの開発を始め、種々のトラブルを克服し、現在実用化に努力している。 このため、現在重い電子系超伝導体の測定は通常のNMRを用いているが、今年度は以下の成果を得た。 正方晶HoCoGa_5型の結晶構造を持つ重い電子系化合物CeCoIn_5は2.3Kの超伝導転移温度を持つ新しい超伝導体である。この系のCe-In面中の^<115>Inに関して (1)常伝導状態での1/T_1の変化はT^<1/4>に比例し、この物質が反強磁性秩序状態のすぐ近傍に存在している事を示す。 (2)超伝導状態では転移温度直下にコヒーレンスピークが存在せず、低温でべき乗に近い温度変化が観測される(100mK付近まで)。この事は線状にノードを持つ異方的な超伝導状態が発生している事を示している。 (3)(超伝導状態でのナイトシフトに関して)Ce-In面の^<115>Inのナイトシフトを単結晶試料を用い磁場を結晶のc-軸、a-軸両方向に磁場をかけて測定すると、両方向ともに大きな減少が観測される。 以上の事からこの系で発生する超伝導がd-波等のスピン一重項超伝導である事が分かる。ただし層間に存在する^<59>Co核について、c-軸方向にはシフトの減少が観測されるが、a-軸方向ではほとんど変化しない。この点、さらなる研究が必要である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Y.Kohori,Y.Yamato,Y.Iwamoto,and T.Kohara: "Appearance of anisotrapic non s-Wave superconductivity above the critical pressure of ahtiferromagnetic CeRhIn_5"The European Physical Journal B. 18巻. 601-604 (2000)