2000 Fiscal Year Annual Research Report
生物界由来の低沸点ハロゲン化合物の生成機構とハロゲン元素循環系
Project/Area Number |
12018208
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 伸哉 富山県立大学, 工学部, 教授 (90213066)
|
Keywords | ハロペルオキシダーゼ / SAM-ハライドイオンメチル転移酵素 / ヨウ化メチル / 海藻 / 海洋プランクトン |
Research Abstract |
塩素を含むテルペノイドを生産する海藻中のハロペルオキシダーゼについて研究を行い。従来報告されているハロペルオキシダーゼの標準基質であるモノクロロジメドンには全く作用せず、3-メチル-2-ブテン-1-オールに特異的に作用し3-メチル-3-ヒドロキシ-2-ブロモ-1-ブタノールを生成する新規ハロペルオキシダーゼを確認した。本酵素の活性は比較的高く、GCによる酵素活性の簡便な測定法を確立し、酵素の精製を行った。完全精製には至っていないが、本酵素がハロゲン化において厳密な基質特異性を示す始めてのハロペルオキシダーゼであることを確認した。 海洋プランクトンPavlova sp.よりS-アデノシルメチオニン(SAM):ハライドイオンメチル転移酵素を完全精製した。同酵素は分子量約29,000のモノマー酵素であり、SAMに特異的であり、SAM以外のS-メチルメチオニン、L-メチオニン、ジメチルスルフォニルプロピオン酸、ベタインには作用しない。ヨウ素イオンに対して最も高い活性を示した。またPavlova sp.より、mRNAを取得し、遺伝子クローニングのためのcDNAライブラリーを作成した。 抗生物質の一種であるクロロテトラサイクリンの塩素化を行う酵素遺伝子(chl)をPCR法により増幅しpETベクターに挿入し、大腸菌にて酵素を大量に発現させる系を構築した。その結果、可溶性蛋白の5-10%近く発現させる事に成功した。しかし、本酵素がどの様な反応を触媒するかは明らかにできなかった。
|
-
[Publications] 伊藤伸哉,大沢登: "生物界由来の揮発性ハロゲン化合物の生成機構と循環"特定領域研究対流圏化学グローバルダイネミクス. 6. 65-70 (2001)
-
[Publications] N.Itoh et al.: "Cloning and biochemical characterization of Co^<2+> activated bromoperoxidase-esterase from Pseudomonas putida"Biochimica et Biophysica Acta. 1545. 53-66 (2001)