2000 Fiscal Year Annual Research Report
糖連結ポルフィリンの腫瘍細胞ターゲティング能と光毒性
Project/Area Number |
12019101
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
覚知 豊次 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (80113538)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 重信 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (60011186)
|
Keywords | 光線力学的療法 / PDT光増感剤 / テトラフェニルポルフィリン / 腫瘍細胞ターゲティング / 糖鎖 / 水毒性 / 親疎水性バランス |
Research Abstract |
近年、光線力学的療法(PDT)は新しいガン診断治療法として期待されており、様々なPDT光増感剤が開発されている。本研究では腫瘍細胞ターゲティング素子への応用を目的として、生体内に豊富に存在する種々の糖質および糖鎖をテトラフェニルポルフィリン骨格に導入したポルフィリン誘導体の合成を行った。また、これらの糖連結ポルフィリン誘導体のPDT光増感剤としての有用性を検討するために、分光学的手法を用いて物理的性質について明らかにし、さらに、種々のポルフィリン誘導体の生体組織内への取り込みと光毒性をin vitro系で評価し、糖質の違いによる腫瘍細胞ターゲティング能について検討した。 ポルフィリン環形成反応を亜鉛存在下で行うことで糖連結ポルフィリンの飛躍的な収率の向上を目指した。さらにポルフィリンからクロリンへの高収率な還元反応も検討した。in vitro系においてはHeLa細胞を用いたMTT assay法により光毒性を相対に評価し、さらに、化合物の細胞への取り込みに関して蛍光顕微鏡を用いた形態観察を行った。これらの研究結果より、種々の糖連結ポルフィリンの腫瘍細胞親和性および光物性、光毒性の相関性を評価した。 糖鎖を連結したポルフィリン誘導体の光毒性について測定した結果、結合した糖鎖の本数により顕著な差違がみられた。これらのポルフィリン化合物の一重項酸素発生能評価およびHeLa細胞に接触させた場合の形態観察から、光毒性の違いは細胞親和力に依存することがわかった。さらに、化合物の分配係数の測定結果より、化合物の細胞への取り込みと親疎水性バランスに相関関係があることが判った。また、単糖連結ポルフィリン誘導体をクロリン誘導体へ変換することで光反応性が向上し、著しい光毒性の増加がみられた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Y.Ikeuchi: "Synthesis and antitumor activities of novel 5-deazaflavin-sialic acid conjugate molecules"Bioorganic & Medicinal Chemistry. 8. 2027-2035 (2000)
-
[Publications] Y.Mikata: "Effect of the linking position of a side chain in bis (quinolylmethyl) ethylenediamine as a DNA binding agent"Chemical & Pharmaceutical Bulletin. 48. 477-479 (2000)