2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12020236
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 一弥 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30195979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 康浩 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60222163)
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Keywords | 有機伝導体 / ガラス転移 / 熱容量 / acカロリメトリ |
Research Abstract |
1.分子運動と電子物性の相関の可能性の検討 ET骨格をもついくつかの有機伝導体の単結晶について熱容量を測定し,エチレン部分の配座転換運動の凍結によるガラス転移を見いだした.とくに,常圧下で最高の超伝導転移温度をもつκ-(ET)_2Cu[N(CN)_2]Brの類縁化合物(Cl塩や重水素置換体)では,塩が金属状態にあるか絶縁体状態にあるかに関係なく等しくガラス転移が見いだされた.これは,配座変換運動は伝導電子の相関時間よりはるかに遅く,直接的な散乱中心ではないことを示している.κ-(ET)_2Cu[N(CN)_2]Brの超伝導転移温度などの電子物性に対するエチレン部分の運動の凍結にる大きな影響が,強相関二次元電子系の相転移線近傍という特殊な事情によることが明らかになった. 電荷移動部分の結晶中での運動の可能性を検討するために,昨年のtrans-stilbene(STB)-TCNQに続き,STB-TCNQF_4,STB-(TCNB)_2などの熱容量を測定した.いずれもクランクシャフト運動の凍結によるガラス転移が観測され,ガラス転移温度より高温側では電荷移動部分がクランクシャフト運動によって裏返っていることが明らかになった.なお,新たに合成したSTB-TCNQF_4ではTCNQF_4錯体としては珍しく約0.2という部分的電荷移動が生じている. 2.低次元有機伝導体の熱容量測定 いくつかのTTF関連の低次元有機伝導体について単結晶を用い光照射ac法による熱容量測定を行った.(DIMET)_2I_3では約40Kに金属-絶縁体転移による明瞭な熱異常を捉えた,熱異常の解析により,この転移が,これまでの擬一次元電子系の理解の常識を越える例外的に高い転移温度を持つSDW転移であることを明らかにした.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hiroki Akutsu: "Phase Behavior of Organic Superconductors k-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]X(X=Br and Cl) Studied by ac Calorimetry"Phys.Rev.B. 61・6. 4346-4352 (2000)
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[Publications] Kazuya Saito: "Calorimetric Study of Metal-Insulator Transition in (DIMET)_2I_3"J.Phys.Soc.Jpn.. 69・11. 3602-3606 (2000)
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[Publications] Akane Sato: "GlassTransition in K-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]X (X=Br and Cl)"Synthetic Metals. (印刷中).
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[Publications] 吉野治一: "微小脆性結晶の熱起電力測定法と2バンド擬一次元有機伝導体の多段階金属-絶縁体転移"熱測定. 26・2. 77-87 (2000)
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[Publications] 齋藤一弥: "分子結晶の物性と分子内運動自由度"固体物理. 36・4(印刷中). (2001)