2000 Fiscal Year Annual Research Report
共役拡張ピロールを用いた新しい共役電子系の合成と機能
Project/Area Number |
12020240
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小野 昇 愛媛大学, 理学部, 教授 (40093215)
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Keywords | ピロール / ポルフィリン / ピロメラン色素 / 共役拡張電子系 |
Research Abstract |
パイ電子が拡張した有機化合物は、光・電子機能材料として期待されている。本研究では、ポルフィリンの対角線上にピロールに芳香環を縮環させ共役を拡張させることにより、700nm,付近に強く線幅の狭い吸収をもつポルフィリンの合成に成功した。ベンゾポルフィリンは材料や医学上重要な化合物であったが、これまで合成が困難であったため利用されていない。この困難を克服する方法としてビシクロオクタジエンが縮環したピロールを基礎としたポルフィリンを利用する方法を開発した。この方法により種々のベンゾポルフィリンの合成に成功した。ポルフィリンは、光照射により一重項酸素を発生するため、この性質を活用した癌の光線治療は、次世代の医療技術として欧米では高く評価されている。また糖鎖は、生体の分子認識能に優れており、この両者を連結させ、より選択性の高い光癌治療(PDT)の開発が望まれている。650nm付近に強い吸収をもつベンゾポルフィリンに糖を連結させることに成功した。その生物活性を調べた。新規骨格のピロメテン色素を合成し、その物性を研究した。ピロメテン色素は、一般的には、500nmに強い吸収をもつ蛍光性色素であり、生命科学分野では蛍光プローブとしての応用、また材料分野ではレーザ色素として、広く利用されている。この分野では、もっと長波長で、強い蛍光を発する色素が求められていた。本研究では、ピロールとベンゼン環とを巧みに縮環させて、長波長で発光する色素の創出に成功した。得られた各種のパイ電子拡張ピロール誘導体は、世界各国との共同研究により、非線形光学特性、電導性、PDT等の機能の検討がなされている。
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[Publications] H.Lino,N.Ono: "meso Unsubstituted Porphyrinogens and Hexaphyrinogens"J.Am.Chem.Soc.. 122・28. 6773 (2000)
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[Publications] R.G.Compron,N.Ono: "Polypyrrole Coated Mercury Film Eleorode"Electroanalysic. 13・1. 7 (2001)
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[Publications] S.Itoh,N.Ono: "Synthesis of benzoporphyrins with Octaerter groups"Tetrahedron Lett.. 42. 45 (2001)
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[Publications] S.Itoh,N.Ono: "Synthesis and properties of polypyrroles"Tetrahedron Lett. 42. 707 (2001)
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[Publications] S.Itoh,N.Ono: "A new synthesis of [2,3] naphthoporphyrins"Chem.Commun. 893 (2000)
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[Publications] Noboru Ono: "The Nitro group in Organic Synthesis"John-Wiley VCH. 390 (2001)