2000 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン共役電子移動を示す表面金属錯体膜の合成とその多重機能性
Project/Area Number |
12020256
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
芳賀 正明 中央大学, 理工学部, 教授 (70115723)
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Keywords | プロトン共役電子移動 / ルテニウム錯体 / 自己組織化膜 / 混合原子価錯体 |
Research Abstract |
ベンズイミダゾール配位子誘導体をもつルテニウム錯体をもつプロトン共役電子移動の多重機能性を有する分子系の構築を溶液系ならびに固体表面系で行うことを目指して研究を進めた.架橋基を有するルテニウム二核錯体でベンズイミダゾール基のプロトン化および脱プロトン化によりHOMOおよびLUMOの軌道エネルギーは大きく変わり、Ru-ベンズイミダゾール結合を通しての金属-金属間相互作用が架橋配位子により変化することが見いだした。ルテニウムを含む二核錯体の溶液中での化学を固体表面に展開してプロトンの出入りにより電流の流れる方向が変化する整流素子機能を目指した.ホスホン酸をアンカー基としてもつルテニウム・オスミウム二核錯体錯体を固体表面に自己組織化により合成した.ビスターピリジルベンゼン(btpb)架橋二核錯体修飾電極においては,pH1では0.67V vs Ag/AgClにオスミウム(II/III),0.89Vにルテニウム(II/III)の二段の一電子酸化波がみられた.ピークの電荷量から求まるモル被覆率Gは0.64×10^<-10>mol/cm^2であった.pHの上昇に伴い、ルテニウムの酸化波は負側にシフトするがオスミウムの酸化波はほとんど一定電位で変化しない。そしてpH4付近で二つの波は合体し、pH9では、まず0.38V vs Ag/AgClにルテニウム(II/III)の酸化波がみられ、ついで0.67V vs Ag/AgClにオスミウム(II/III)の酸化波がみられた.錯体修飾電極の酸化電位-pHプロットからルテニウムサイトとオスミウムサイトの酸化電位がpH5で交差する事が明らかになり、溶液中の錯体の挙動と一致した.掃引速度や掃引回数を変えても、整流作用を示すようなCV変化は見出せなかった.錯体SAM修飾電極をオスミウムの酸化電位である+0.59Vにセットし、その後溶液の液性をアルカリ性から酸性にふると、系に流れる電流の方向がアノード電流からカソード電流に変化し、pH変化による電子移動の方向制御が可能になることが分かったが、オスミウム錯体によるメデイエーションについては明確な情報を得ることはできなかった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.D.Hossain: "Synthesis and tuning of chemical properties of protonation/deprotonation of novel dinuclear rutehnium complexes"Inorg.Chem.Commun. 3. 35-38 (2000)
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[Publications] M.F.Ryan: "A Novel rutnenium surfactant : electronic spectra, ZINDO analysis and Langmuir-Blodgett studies of trans-dichloro (6, 6'-bis (N-dodecylbenzimidazol-2-yl) -2, 2'-bipyridine) ruthenium (II)"J.Chem.Soc.Dalton Trans. 2357-2365 (2000)
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[Publications] M.Haga: "Synthesis and Proton-Coupled Electron Transfer Reaction of Self-Assembled Monolayers of Ruthenium (II) Complex Containing Tridentate 2, 6-Bis (benzimidazol-2-yl) -pyridine on Gold Surface"Inorg.Chem.. 39. 4566-4573 (2000)