2000 Fiscal Year Annual Research Report
高密度プロチウム合金におけるプロチウム移動機構の解明
Project/Area Number |
12022213
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
伊藤 吾朗 茨城大学, 工学部, 助教授 (80158758)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 健 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (40303185)
|
Keywords | 高密度プロチウム合金 / バナジウム・チタン・クロム系合金 / 移動経路 / 水素マイクロプリント法 / ナノインデンテーション法 / へき開面 / 亀裂 |
Research Abstract |
最近研究代表者の伊藤が精力的に行ってきているものの高密度プロチウム合金ではまだ試みられていない水素マイクロプリント法,および研究分担者の山下が行っているナノインデンテーション法により,プロチウムの移動経路,移動機構をまず現象論的に明らかにし,その現象論の取りまとめを基に,移動機構を総合的に解明することを目的とした。対象材料として,現在プロチウム吸蔵の実用合金としてもっとも可能性の高いV-Ti-Cr系合金を選んだ。 東北大学岡田益男教授の研究グループのご厚意により調製していただいたV-28.75mol%Ti46.25mol%Cr合金の直径約25mmのボタン状鋳塊,およびプロチウム吸蔵化処理後常温・常圧で保存した粉粒体状V-28mol%Ti-37mol%Cr合金(組成はいずれも公称組成)を用意した。ボタン状試料を用いて,ナノインデンテーション試験,透過型電子顕微鏡(TEM)観察(試み)を行い,一方粉粒体状試料を用いて,光学顕微鏡(光顕)・走査型電子顕微鏡(SEM)観察,水素マイクロプリント法による解析を行った。 V-Ti-Cr系高密度プロチウム合金は凝固偏析が少ない単相合金であり,ナノインデンテーション法により,移動経路と金属組織との対応をつけるのが困難であった。またTEM解析用の試料は,極めてもろく,ハンドリング中に破損したため,観察するに至らなかった。 光顕やSEM観察の結果,吸蔵化処理後の粉粒体状試料では,プロチウムの吸蔵・放出に伴う格子ひずみや脆化により割れていたが,割れは体心立方金属のへき開面{100}に沿っていると推測された。 水素マイクロプリント法による解析の結果,亀裂の先端部からプロチウムが放出されることが示唆された。
|