2000 Fiscal Year Annual Research Report
U字型二架橋二核錯体を基本単位とする集積型白金一次元錯体の合成研究
Project/Area Number |
12023247
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
酒井 健 東京理科大学, 理学部・第一部, 講師 (30235105)
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Keywords | 集積型金属錯体 / 白金一次元錯体 / 二核錯体 / 複塩 / 混合原子価 / 伝導性錯体 / 結晶構造解析 / 合成 |
Research Abstract |
本課題ではアミド及びカルボキシラトを架橋配位子とする白金二核錯体[Pt_2L_2(μ-B)_2](L_2=(NH_3)_4,(bpy)_2,(phen)_2,etc.;B=acetamidato,pivalamidato,acetato,p-hydroxybenzoato,etc.)からなる新規集積型白金一次元錯体の合理的合成法の開発と物性評価を目的として研究を行った。昨年度、(i)ピバリン酸架橋ビピリジン白金二核カチオンとビス(オキサラト)白金酸アニオンからなる様々な興味深い白金一次元鎖を有する新規複塩結晶が得られること、及び(ii)酢酸架橋ジアンミン白金二核錯体の定電流電解酸化法により黒色の混合原子価白金一次元鎖錯体が得られることを発見した。本年度は、これら新規一次元錯体の合成法の最適化、組成決定、結晶学データの最終精密化、電気伝導特性と磁性の評価にを行った。前者については、合計6種の一次元錯体の合成法の確立、組成決定、構造決定に成功した他、黒色の混合原子価白金(2.22+)一次元錯体の高い電気伝導特性(約10S/cm)と反磁性である性質について明らかにすることに成功した。また、本年度はその構成要素となる錯イオン間の水溶液中での会合挙動、混合原子価錯体の生成についても明らかにすることに成功した。これに加え、結晶中での金属金属間相互作用と可視吸収帯の極大吸収波長の相関についても合理的解釈をえることに成功した。後者の錯体については、共存イオン濃度などを変化させることにより、その最適合成条件の決定に成功した。組成については、非整数個の硝酸イオンを含む混合原子価白金(2.19+)錯体であることが、各種分析定量実験から決定された。また、より良好な単結晶を用いて再測定した反射データを用い、結晶中のディスオーダー硝酸の空間配置を決定することにも成功した。
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[Publications] K.Sakaiと 他6名: "Ocillation of Membrane Potential in Immobilized DNA Membranes"J.Phys.Chem.B. 104. 9864-9872 (2000)
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[Publications] K.Sakaiと 他8名: "Syntheses, Crystal Structures, and Molecular Mechanics Studies of a New Antitumor-Active……"Inorganica Chimica Acta. 297. 64-71 (2000)