2000 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母の全プロテインホスファターゼ遺伝子二重破壊変異株の作製と機能解析
Project/Area Number |
12024213
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 嘉信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90161182)
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Keywords | 酵母 / プロテインホスファターゼ / ゲノム |
Research Abstract |
タンパク質のリン酸化・脱リン酸化は、細胞機能の代表的な制御様式である。ゲノムの全塩基配列から、出芽酵母には、117種のプロテインキナーゼ(PKase)、32種のプロテインホスファターゼ(PPase)が存在すると推定されている。一方、出芽酵母では約250種のリン酸化タンパクが報告されているが、それらがどのようなPKaseによってリン酸化され、どのようなPPaseによって脱リン酸化されるかについては、断片的な知見が得られているに過ぎない。本研究では、「真核生物におけるタンパク質のリン酸化・脱リン酸化による細胞機能制御の全体像」を明らかにすることを目指して、出芽酵母の32種のPPaseについて、単独破壊株だけでなく、全ての組合わせの二重破壊株を作成し、その網羅的な表現型解析から、それぞれのPPaseが、どのような細胞生理に関わっているかを明らかにすることを目的とした。まず、W303-1A(a接合型)株から形質転換法で単一破壊株を作成した。その結果、32個のうち2個(CDC14、GLC7)が必須遺伝子であり、残りの30種のPPase遺伝子破壊株は生育可能であることが分かった。遺伝子破壊が致死でない30種のPPaseについて、接合型の異なる破壊株をそれぞれ作成し、全ての組合わせ(435通り)で交雑とランダム胞子分離法法により二重破壊株を作成した。その結果、430組みの二重破壊株が生存可能であり、5組みの二重破壊株(Δsit4Δptc1、Δsit4Δptc3、Δsit4Δptc4、Δsit4Δppg1、Δsit4Δynr022c)が致死であることがわかった。また、二重破壊株が生育可能であった430株について、網羅的な表現型の解析を目指した。その結果、現在までに調べた温度感受性、炭素源資化性、塩感受性、薬剤感受性表現型について、約100株がなんらかの表現型を示した。そこで、それらの全てについて、野生型株と雑種二倍体を作成し、四分子分析を行なったところ、Δpph21Δpph22およびΔppz1Δppz2二重破壊株が示す37oCでの増殖遅延表現型、またΔptc2Δmsg5二重破壊株が示すNaCl、CaCl2感受性表現型、Δptp2Δmsg5二重破壊株が示すCaCl2感受性の表現型が実際に二重破壊によって引き起こされていることがわかった。本研究によって世界で初めて構築されたPPase二重破壊株のシリーズを利用して、今後は、さらに多くの表現型を網羅的に解析し、それぞれのPPaseがどのような細胞生理に関与するかを明らかにしたい。また、PPase破壊株における約250あるリン酸化タンパク質のリン酸化レベルの解析(ホスホプロテオーム解析)も行う予定である。
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