2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12026226
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小椋 利彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (60273851)
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Keywords | Tbx / 肢芽 / wing / leg / 転写活性化 |
Research Abstract |
これまでの研究からTbx5、Tbx4遺伝子は、それぞれ上肢(wing)と下肢(leg)の形態を規定していることが明らかとなっている。したがって、この2つの遺伝子はその構造状の相同性とは逆に、全く異なった機能を有することが予想された。両Tbx遺伝子はT-domainとよばれるDNA結合モチーフをもつ転写因子であるが、このT-domainの構造は非常によく似ており、DNA認識様式はほぼ同じであることが予想される。このような理由から、Tbx5、Tbx4遺伝子の生物学的機能の差は、DNA結合モチーフというより、そのC末端側にある領域(転写活性化能に関与すると考えられている)の構造状の差であると考えられた。 このような観点に立って、本年度は主に、Tbx5、Tbx4のdomain swapと行い、Tbx5のDNA結合ドメインとTbx4のC末端側を有するキメラ蛋白、あるいはその逆の構造をもつ蛋白の機能を解析することに集中した。確たる結論に至るには、まだ実験の例数が足りないものの、Tbx蛋白の機能的な差はC末端側の構造に依っていることが明らかになりつつある。 また、本年度は、Tbx遺伝子を幾つかの領域に分割し、それぞれの領域でコードされる蛋白の機能を解析することも行った。同時に、Tbx蛋白のDNA結合様式を分子生物学的に解析するための準備として、それぞれの蛋白を大腸菌に発現させ、精製してgel shift assayを行うための材料を作った。このようなアプローチは、発生生物学的な知見をより性格に論述するために必要不可欠な分子生物学的解析である、今後もより詳しい解析を行うよう、発展させている。
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