2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12033204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡 昌吾 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (60233300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学研究科, 教授 (50025706)
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Keywords | HNK-1糖鎖抗原 / グルクロン酸転移酵素 / 細胞接着分子 / 遺伝子欠損マウス / NCAM |
Research Abstract |
単クローン抗体HNK-1によって認識されるHNK-1糖鎖抗原は、3-スルホーグルクロン酸という特徴的な糖鎖構造をエピトープとし、神経系特異的糖脂質、および、NCAMなどの神経接着分子に特徴的に発現している。本糖鎖抗原は神経の初期発生段階、神経回路の形成段階および神経回路の維持など様々な過程において重要な働きを持つことが示唆され注目されている。我々は、HNK- 1糖鎖抗原の生合成に関与する酵素遺伝子(GlcAT-P,GlcAT-S)を単離し、これらを利用して分子生物学的手法により細胞レベル、及び個体レベルで本糖鎖抗原の役割を総合的に解明することを目指している。今年度の研究において以下に示す知見が得られた。 1)HNK-1糖鎖発現による細胞接着分子の機能的変化の解析。 GlcAT-P遺伝子を安定導入したCOS-1細胞を利用して、HNK-1糖鎖を発現する細胞接着分子を調製し、HNK-1糖鎖発現による細胞接着分子の機能的変化を解析した結果、HNK-1糖鎖を発現しているNCAMの同種親和性が顕著に減少することが明らかとなった。 2)GlcAT-P遺伝子欠損マウスの解析。 GlcAT-P遺伝子欠損マウス脳におけるHNK-糖鎖の発現について詳細に解析した結果、大部分のHNK-1糖鎖の発現は消失しているものの、一部特徴的な領域に残存するHNK-1糖鎖発現が観察された。これらHNK-1糖鎖の減少に伴い脳の空間認知などの高次機能への影響が観察された。 3)第2のグルクロン酸転移酵素遺伝子(GlcAT-S)欠損マウスの作成 2)で述べた残存するHNK-1糖鎖を完全に消失させることを目的として、第二のHNK-1糖鎖生合成酵素であるGlcAT-S遺伝子を単離し、その遺伝子構造を明らかにした後、GlcAT-S遺伝子ノックアウトマウス作製用のターゲッティングベクターを構築することに成功した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Ohtsubo et al.: "Studies on the Structure-Function Relationship of the HNK-1 Associated Glucuronyltransferase, GlcAT-P, by Computer Modeling ang Site Directed Mutagenesis."J.Biochem.. 128(2). 283-291 (2000)
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[Publications] Y.Mitsumoto et al.: "Cloning and Chromosomal Mapping of Human Glucuronyltransferase Involved in Biosynthesis of the HNK-1 Carbohydrate Epitope."Genomics. 65(2). 166-173 (2000)
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[Publications] 岡昌吾 ら: "神経系における糖鎖の役割糖鎖リモデリングによるHNK-1糖鎖の解析を中心に"細胞工学. 20(2). 187-192 (2001)