2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規コレクチンを用いた細胞内O-GlcNAc糖鎖の生理的役割の解明
Project/Area Number |
12033208
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若宮 伸隆 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20210867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 定彦 大阪府立公衆衛生研究所, 病理課, 主任研究員 (90206540)
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Keywords | コレクチン / レクチン / ウイルス / 補体 |
Research Abstract |
O-GlcNAc糖鎖は、蛋白のセリンやスレオニンのアミノ酸残基(Ser/Thr)に結合する糖鎖であり、UDP-GlcNAc-β-N-acetylglucosaminyltransferase(O-GlcNAc transferase)によって糖付加が行われると考えられている。この糖鎖の付加は細胞内蛋白(核蛋白、細胞質存在蛋白)のみに認められ、生命現象に重要な役目を担っていることが推測される。我々は、コレクチンの糖結合活性が上記の糖鎖とオーバーラップすることから、コレクチンのモチーフを利用して新規コレクチンのクローニングを企画し、細胞内糖鎖の機能を探ろうと考えた。 1)我々は、膜タイプの新規コレクチンを想定し、その遺伝子クローニングを試み、本年度候補遺伝子の一つCL-P1遺伝子のクローニングに成功した。さらにCL-P1遺伝子を大腸菌で発現させ、抗体作成を行い、本レクチンが膜型のレクチンであることを証明した(論文投稿中)。その後本レクチンのマウスホモローグをクローニングした。本レクチン遺伝子は非常に遺伝子保存率が高く、生体にとって重要な働きをしていることが示唆された。 2)レクチン遺伝子の機能を探るには、生体での役割探索が必須であり、いろんな大学、病院との共同研究をおこなっている。始めに大阪某市における健康診断において、ボランテアでの日本人正常値の検討を行った。約500人におけるMBL血中濃度では1-2mg/mlであり、遺伝子多型のアレル頻度は0.18であった(医学のあゆみ2000)。また北大第一内科との共同研究で、自己免疫性疾患とコレクチン遺伝子多型について検索を行った。その結果、慢性ウイルス感染症ではC型肝炎にて本レクチン(MBL)の血中濃度が高い患者は予後が良い事が推測された(Scan.J.Gasteroentelogy,2000)。さらに自己免疫性疾患(SLE,RA,Sjogren syndrome)では、本遺伝子の変異が高いことがみられた。今後本レクチンの測定が自己免疫性疾患のマーカーや予後判定の材料に使える可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sasaki,K.,Tsutsumi,A.,Wakamiya,N.,Ohtani,K.,Suzuki,Y.,Watanabe,Y.,Nakayama,N.,Koike,T: "Mannose binding lectin polymorphisms in patients with hepatitis C virus infection."Scand.J.Gastroenterology. 35. 960-965 (2000)
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[Publications] Tsutsumi,A,Sasaki,K,Wakamiya,N,Ichikawa,K,Atsumi,T,Ohtani,K.,Suzuki,Y.,N.,Koike,T.,Sumida,T.: "Mannose binding lectin gene : polymorphisms in Japanese patients with systemic lupus erythematosus, rheumatoid arthritis and Sjogrens syndrome"Genes and Immunity. (In press).
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[Publications] Zhao H.,Wakamiya,N.,Suzuki,Y.,Hamonko,M.T.,Stahl,G.L.: "Epitope mapping and functional characterization of a novel monoclonal antibody against human mannose binding lectin (MBL)."J.Immunol.. (In press).
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[Publications] 芥子宏行,大谷克城,坂本隆志,岸雄一郎,荒木宏昌,鈴木定彦,若宮伸隆: "日本人におけるMBL(Mannan-binding lectin)遺伝子変異と血中濃度の検討"医学のあゆみ. 194:12,. 957-958 (2000)
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[Publications] 若宮伸隆,鈴木定彦: "生体防御レクチンとしてのコレクチンファミリー"蛋白質核酸酵素. 45(5). 655-663 (2000)