2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12039208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 善道 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50011375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 幸比古 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10221441)
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Keywords | 日本語方言 / アクセント / 式音調 / 複合名詞 / 複合動詞 / 形容詞 / 複数単位形 / 資料 |
Research Abstract |
1 代表者の上野善道は,青森市方言,香川県伊吹島方言,山口県見島方言,鹿児島県枕崎市方言,同県黒島大里方言などを調査した。中でも詳しく調べたのは伊吹島と見島である。伊吹島方言では5拍・6拍の複合名詞につき,その全体・前部要素・後部要素の各アクセントを調べ,また,複合動詞の否定形などのアクセントも記録した。見島方言では,複合動詞のアクセント規則を明らかにし,論文にまとめた。その他,金沢市方言では,故人となった話者の複合動詞の資料を,協力者の新田とともに整理して公にした。話者が急逝するという予想外の事態になった青森市方言についても,複合名詞が複数のアクセント単位に分かれるという特異な現象を報告すべく,その資料をまとめているところである。 2 分担者の中井幸比古は,アクセント史重要な位置を占める岡山県日生町寒河方言を調べ,詳しい報告を書いた。また,伊吹島方言の最古の録音資料である和田実・妹尾修子録音のテープを聞き取り,3式の存在と2拍名詞の5型の対立を確認した。 3 協力者の新田哲夫は,石川県白峰村字白峰において動詞・形容詞の活用形と付属語のアクセント調査を行なった。形容詞に関しては,その語幹に現われる長音について検討をした。また,動詞活用形アクセントの通時的な関係の考察も行なった。 4 協力者の大和シゲミは,福井県上中方言アクセントの記述的研究を行ない,1〜6拍名詞における型の弁別の仕方に個人差があることを明らかにした。また,この方言の式音調の成立過程に関する論文も書いた。
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[Publications] 上野 善道: "見島方言の用言のアクセント調査報告"東京大学言語学論集. 21. 345-395 (2002)
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[Publications] 上野 善道: "日本語本土諸方言研究の課題"宮岡伯人・崎山理編『消滅の危機に瀕した世界の言語-ことばと文化の多様性を守るために-』明石書店. 344-351 (2002)
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[Publications] 上野 善道: "見島方言の動詞のアクセント規則"アジア・アフリカ文法研究. 31(印刷中). (2003)
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[Publications] 上野 善道, 新田 哲夫: "金沢方言の5拍以上の動詞・形容詞のアクセント資料"日本海域研究. 34(印刷中). (2003)
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[Publications] 中井 幸比古: "岡山県寒河方言のアクセント"上野編『消滅に瀕した方言アクセントの緊急調査研究(3)』. 55-63 (2003)
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[Publications] 大和シゲミ: "式音調の変化-福井県上中方言の場合-"大阪樟蔭女子大学日本語研究センター報告. 10. 15-22 (2002)
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[Publications] 上野 善道: "消滅に瀕した方言アクセントの緊急調査研究(3)"中西印刷. 250 (2003)