2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12039230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 智之 九州大学, 人文科学研究院, 助教授 (30214993)
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Keywords | 満洲語 / 満洲語口語 / シベ語 / 黒龍江の満洲語 |
Research Abstract |
研究代表者の久保は、昨年8-9月、中国新疆ウイグル自治区で満洲語口語(シベ語)の調査研究を進めた。現在、シベ語の音声表記、音韻表記、満洲語文語、対応する漢語等を併記した語彙集を準備中である。また、シベ語の口語テキストも準備中である。昨年10月と11月には、中国黒龍江省において、同省の満語研究所の協力を得て、同省富裕県において、満洲語口語の予備的な調査を行なった。同地区では、70歳以上と高齢ではあるが、満洲語の話者が十数名いるようである。今回はそのうち4名の方について、基礎語彙調査を中心に行なった。今後本格的な調査が緊要であり、継続して調査を行なう予定である。 また、九州大学大学院生の西岡いずみは、中国新疆ウイグル自治区において、ウイグル語の「行く」と「来る」の用法について、詳細な調査を行なった。久保は従来、シベ語の「行く」と「来る」の用法の調査を行なってきたが、シベ族が普通に話すウイグル語に、母語であるシベ語の影響があるのではないかと思われ、シベ語の「行く」「来る」の用法と、ウイグル族の話すウイグル語の同用法を比較対照する必要があった。西岡の調査の結果、ウイグル族のウイグル語における同用法は、シベ語のそれと、相当程度異なっていることが判明した。それに対し、シベ族の話すウイグル語は、シベ語の同用法の影響を顕著に受けていることが、判明しつつある。 久保は、昨年8月末-9月初めにドイツのボンで開催された第1回満洲トゥングース学会において、シベ語の音韻論に関する発表を行なったほか、現在論文2編が刊行準備中である。
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Research Products
(1 results)