2002 Fiscal Year Annual Research Report
北タイの消滅の危機に瀕した言語、ムラブリ語の調査研究
Project/Area Number |
12039238
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Research Institution | REITAKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂本 比奈子 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (20205777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 博之 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (20014459)
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Keywords | ムラブリ語 / ムラブリ族 / 北タイ・プレー / 消滅の危機言語 / モン族 / 北タイ碑文 / 少数民族 / 山岳民族 |
Research Abstract |
現地調査とその結果:14年度12月7日-29日まで、タイのプレー県においてムラブリ語の現地調査を実施した。宣教師が作成したムラプリ語テキストをすべてタイ語化し、録音、録画した。この資料に、日本語訳と英訳、および語彙索引を付したものを作成し、将来的にムラブリ語の研究、学習をする者に役立てるようにする予定である。ムラブリ族自身のムラブリ語復興運動に役立てることもありうる。 言語使用状況:こども世代は,ムラブリ語とタイ語の完全なバイリンガルであることを確認した。タイ語はおとなより確かであり、ムラブリ語に関しても語彙面でもほとんど問題はない。しかし環境の激変がどう作用するか、今後注目すべき点である。 方言の問題:ムラブリ語には、現在、タイのグループとラオスのグループの2種しかないというリシェルの説を覆す現地情報があり、今後の調査が必要になった。 資料のデジタル化:録音、録画はすべてデジタルで行った。録画はDVD化する。 人口の増滅と環境変化についての調査:タイ国内のムラブリ語族の人口については、これまでの調査でほぼ確定したが、その後の移動・定住状況を確認した。1年以内に1割以上の人が移動している。15年1月にプレー県の定住地に電気が通じたので、今後大きな変化が予想される。 周辺民族の変化:現在ムラブリ語族ともっとも密接な関係にあるモン族は、野菜の栽培で高収入をあげ、バイクや車、テレビ台数の急激な増加を伴った生活革命にさらされている。また14年度に道路がかなり改善されたので、四季の交通が容易になり、年間の労働カレンダーも変化すると思われる。そのような変化はすぐにムラブリ族の変化につながるので、現地調査を継続的に行う必要性がますます高まっている。 北タイ碑文集のデータベース化:北タイの少数民族の歴史的位相を調べるために、北タイ碑文集データベース化プロジェクトを立ち上げ、今年度は2巻の碑文集の入力を完了している。
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