2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12042205
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
斎藤 稔 弘前大学, 理工学部, 教授 (60196011)
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Keywords | 酵素反応 / 分子動力学シミュレーション / 予測 / 蛋白質 / アミノ酸置換 / 自由エネルギー計算 / 結合自由エネルギー / 反応場 |
Research Abstract |
蛋白質中の活性部位では、化学反応が溶液中よりも効率よく選択的に起こる。その理由は、活性部位周辺のアミノ酸が、化学反応を効率よく進行させる「化学反応場」を提供しているからである。このような最適な化学反応場を作るアミノ酸の配置は、進化の過程で獲得したものである。一方、蛋白質は、結合する基質分子の微細な違いを正確に識別し、特定の基質分子と強く結合することができる。例えば、核酸に結合する蛋白質は、核酸の塩基配列の違いを正確に認識し、特定の塩基配列の部分を狙って正確に結合することが知られている。本研究の目的は、筆者が開発した自由エネルギー計算手法(アミノ酸置換に伴う自由エネルギー変化を分子動力学シミュレーションに基づいてい高精度に計算する手法)を、酵素反応に適用することである。そうすることによって、実験的に得にくい原子レベルでの動的な情報を基にして現象を解明する。最終的には、実験に先立って現象を定量的に予測することを目指している。まず、初年度は、核酸に結合する蛋白質と核酸との結合自由エネルギー(結合親和力)を計算して、実験による測定結果と比較して計算の信頼性を検証した。その結果、核酸の塩基配列の違い(チミンとウラシル)による結合自由エネルギーの違いを正確に計算できることが解った。また、計算の信頼性や再現性を調べるために、計算の手順を様々に変えて計算を行ったが、同様の結果を再現した。すなわち、この計算手法は任意パラメタを含んでいないうえに、計算の手順にも大きく影響されないことから、信頼できる計算方法であることが実証された。次年度は、この計算手法を、蛋白質中の化学反応に適用する計画である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Minoru Saito 他: "Cavity-filling mutations enhance protein stability by lowering the free energy of native state."J.Phys.Chem.B,. 104. 3705-3711 (2000)
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[Publications] Hidetoshi Kono 他: "Stability analysis for the cavity-filling mutations of Myb DNA-binding domain by free energy calculations"PROTEINS : Structure, Function, and Genetics. 38. 197-209 (2000)
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[Publications] 三十尾潔高 他: "並列化Barnes-Hut tree code用いた高精度なタンパク質分子動力学法プログラムの開発"情報処理学会論文誌. 41. 1538-1548 (2000)
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[Publications] Kiyotaka Misoo 他: "Development of Molecular Dynamics Programs for Protein with a Parallelized Barnes-Hut Code"Proc.the Fourth International Conference on High-Performance Computing in Asia-Pacific Region. 2. 1103-1111 (2000)
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[Publications] Takao Yoda 他: "Folding-Unfolding of Goat α-Lactalbumin Studied by Stopped-Flow Circular Dichroism and Molecular Dynamics Simulations"PROTEINS : Structure, Function, and Genetics. 42. 49-65 (2001)
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[Publications] Tadahiro Ohmura 他: "Stabilization of hen egg white lysozyme by a cavity-filling mutation"Protein Science. 10. 313-320 (2001)
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[Publications] Y.Taniguchi 他: "Structure and function of biological systems under extreme conditions : Pressure and temperature effects"Springer-Verlag. 320 (2000)