2000 Fiscal Year Annual Research Report
実験的キネティクス解析および第一原理分子動力学法による触媒反応過程の解明
Project/Area Number |
12042215
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 潤児 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (40227905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 良忠 産業技術融合領域研究所, アトムテクノロジー, 主任研究官
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Keywords | 触媒 / 金属表面 / 表面科学 / 第一原理分子動力学法 / メタノール合成 / 銅酸化亜鉛系触媒 / アルカンチオール / 自己組織化膜 |
Research Abstract |
メタノール合成反応の素過程のひとつであるフォーメートの生成に関して(CO_2+1/2H_2→HCOO)、Cu(111)表面でのキネティクスおよびダイナミクスを研究した。昨年度の研究において、この反応がEley-Rideal型であることが示唆され、それを検証するための実験的・理論的研究を進めた。重要な点は、これまでの多くの表面反応が、吸着種が表面で衝突し反応するものであるが、Eley-Rideal型の素過程は、吸着種に気相分子が直接衝突し反応するという極めて珍しい反応である。ラジカル反応のような特殊な場合にのみ、ER型反応が見出されているが、一般の触媒反応素過程では、その存在自身が疑問視されているところである。本反応の場合、解離状の水素に直接CO_2分子が反応するというメカニズムである。我々は、第一原理分子動力学計算で、直接衝突する場合の活性化エネルギーを計算し、実験値を良く再現する結果を得た。さらに、遷移状態においてそれに対して、O-C-O軸が曲がることが示された。CO_2の振動励起が反応に重要なことを示唆するが、これと良く対応するが実験結果が得られた。すなわち、Cu(111)に原子状水素を吸着させ、これを室温に保っておき、CO_2分子のみ加熱して反応を行わせたところ、CO_2温度に依存して速度は変化した。その活性化エネルギーはCu(111)サンプル温度を変化させて測定した時の活性化エネルギーと良く一致した。すなわちCO_2の運動エネルギーのみが反応の障壁を越えるのに使われることを意味している。この結果は、表面反応一般の理解にとって重要な結果である。
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[Publications] H.Nakano: "Carbon deposition by disproportionation of CO on a Ni (977) surface"Surf.Sci.. 454-456. 295-299 (2000)
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[Publications] H.Nishimura: "Surface structure of MnO/Rh (100) studied by STM and LEED"J.Vac.Sci.Technol.. A18. 1460-1463 (2000)
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[Publications] Y.Choi: "The role of ZnO in Cu-ZnO methanol synthesis catalysts"Applied Catal.. 208. 163-167 (2001)
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[Publications] H.Nakano: "Carbide-induced reconstruction initiated at step-edges on Ni (111)"(in press).
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[Publications] H.Nishimura: "Adsorption of CO on an MnO/Rh (100) model catalyst."(in press).
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[Publications] H.Nakano: "Structure-dependent kinetics for synthesis and decomposition of formate"(in press).