2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規なかご状含チタンシロキサン化合物の理論的分子設計
Project/Area Number |
12042216
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
天羽 貴子 (工藤 貴子) 群馬大学, 工学部, 助教授 (10137911)
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Keywords | シルセスキオキサン / チタン / POSS / チタノシルセスキオキサン / ab initio分子軌道法計算 |
Research Abstract |
本研究では、チタンを含む優れた特性を持つ新規な化合物の設計を目的として、チタノシルセスキオキサンの構造上の特徴や安定性についてab initio分子軌道計算を行っている。今回はチタノシルセスキオキサン骨格を形成するTi-O-Ti結合の性質を明らかにするため、この結合を持つ鎖状および環状化合物の構造についても計算した。計算方法はHF/SBKおよびTZVP基底関数を用いたHF,MP2法によった。Ti-O-Ti結合を持つ最小の化合物であるH(OH)_2TiOTi(OH)_2Hの最安定構造はC_2対称性を持つゴーシュ構造で、Ti-O-Ti変角のポテンシャルエネルギー面はシロキサン結合より更に平坦である。環状化合物では、[H(OH)TiO]_3,[H(OH)TiO]_4のいくつかの構造のうち、可能な限りOH基が環の上下に位置する構造が最安定という結果を得た。チタン化合物ではケイ素化合物とは異なり水素結合は構造決定の重要な因子とはならない。かご状構造形成の部品とも考えられるこれらの化合物の構造上の特徴の差は、ケイ素とチタンのシルセスキオキサンの構造および合成経路の差に影響を与えるものと予想される。 また、立方体型(T8)のTi/Si混合体については、可能なすべての異性体構造をHF/TZVPレベルで構造最適化し相対安定性を比較したが、エネルギー差はHF/SBKの値より更に小さく明確な傾向を見出せなかった。また、アルミニウム類似体のHF/6-31G^*相対エネルギーと比較してもチタンの場合の差は極端に小さい。しかし、アルミニウム置換ゼオライトにおいて最近接構造を嫌うというLowenstein則は立方体型分子ではチタンが3つ以上の場合にあてはまることが分かった。今回の計算の結論としては、チタンのゼオライト中における位置選択性はアルミニウムの場合の様には明確ではなく、どこにでも配置しうると考えられる。
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