2000 Fiscal Year Annual Research Report
走査プローブ顕微鏡によるモリブデンカーバイド単結晶表面の新規反応性に関する研究
Project/Area Number |
12042224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩澤 康裕 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40018015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 賢一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60262143)
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Keywords | モリブデンカーバイド / 走査トンネル顕微鏡 / 非接触原子間力顕微鏡 / 走査プローブ顕微鏡 / 表面炭素組織構造 / 新規選択エッチング反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、金属ともセラミックスとも異なる物性と高い表面反応性を有するモリブデンカーバイド表面の構造、電子状態を解析した上で、新しい物性と反応性を創出するための機構を明らかにすることである。走査トンネル顕微鏡(STM)、非接触原子間力顕微鏡(NC-AFM)などの走査プローブ顕微鏡(SPM)を用いて研究を展開し、モリブデンカーバイド単結晶表面上の個々のモリブデンおよび炭素原子の原子配列、局所的な電子状態を観測するとともに、SPMその場観察技術を応用し、吸着させたプローブ分子のダイナミック挙動を動画像解析する。 1.モリブデンカーバイド表面上の炭素組織構造の構造制御 モリブデンカーバイド単結晶の(0001)表面を用い、表面温度の精緻な制御を可能にすることで表面炭素量を微妙にコントロールし、(√3×√3)R30°-honeycomb構造、c(2×4)-ジグザグ列構造、炭素クラスター構造などの表面炭素組織構造を再現性よく作製することに成功した。また、その原子分解能STM観察にも成功し、表面炭素の局所的環境に依存して表面電子状態が大きく変化するこどを見いだした。 2.構造選択的新規エッチング反応の発見 複数種の表面炭素組織構造で覆われたモリブデンカーバイド(0001)表面を酸素ガスに露出すると、表面に強く結合しているはずの表面炭素原子が室温という低い温度でもエッチングを受けること、そのエッチングのされ方に構造選択性があることをSTM観察により見いだした。ジグザグ列をなしている表面炭素原子が選択的に酸素と反応して一酸化炭素として脱離し、下地の(1×1)モリブデン層の領域が現れてくる様子が高分解能STM観察により明らかになった。モリブデンカーバイド上の炭素組織構造の特異な反応性を反映した結果と考えられ、今後、反応性と表面電子状態との対応を検討していく。
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