2000 Fiscal Year Annual Research Report
アセチレンの電子励起状態ポテンシャルとシスートランス異性化反応のコヒーレント制御
Project/Area Number |
12042227
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 英人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00204545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 麻雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20322092)
芥川 忠正 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30016125)
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Keywords | 三重項励起状態 / シスートランス異性化反応 / コヒーレント制御 / 高分解能分光 / サブミリ波分光 / 近赤外半導体レーザー分光 |
Research Abstract |
本研究はアセチレンに代表されるような基本的な分子の励起状態とその構造変化を伴うダイナミクスの本質を解明するために、準安定となる三重項状態を生成し、この状態を起点とする様々な励起・緩和過程の分光測定を行った。 1)最低励起三重項状態であるシス型アセチレンを起点とする分光測定 (1)電子遷移の測定分光光源として7000cm^<-1>領域の近赤外DFB半導体レーザーを用いてd^3A_2←a^3B_2電子遷移をドップラー極限の分解能で測定する。ホットバンドを含めた振電バンドを探査した。その結果、C_2H_2の1-0バンド、C_2D_2の1-0バンドを検出した。 (2)サブミリ波分光法による純回転スペクトルの測定:後進行波管(BWO)を光源とする高精度サブミリ波分光システムを用いて、400GHzに現れるKa=1-0の純回転遷移の測定を開始した。水銀光増感反応を用いてHCOラジカルは検出できたが、三重項アセチレンの検出には至っていない。 2)線幅の測定、及び無衝突極限での寿命の測定 (1)スペクトル線幅測定:最近のMITの基底一重項の高振動励起状態のSEP実験の結果からは、高い状態密度を持つX状態の高振動励起状態との相互作用によって、準安定三重項状態のスペクトル線幅は著しく増大すると予想されていたが、三重項側からのスペクトルにはそのような線幅の増大は観測され無かったので、MITの予想を否定した。 (2)動的分光測定(Kinetic Spectroscopy):時間分解半導体レーザー分光法を用いて、パルス法で生成した三重項分子の濃度の時間変化を過渡吸収スペクトルとして計測し、衝突反応過程で消失していく速度定数を単一振電・回転・スピン状態ごとに決定し、無衝突極限の寿命と交換交差のダイナミクスを検討した。
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[Publications] M.Kumagai,H.Kanamori,M.Matsushita and T.Kato: "Quasi-Microwave Spectroscopy of Non-Polar Diatomic Molecule by Using Optical Phase-Locked Lasers"J.Chem.Phys. 113. 7031-7034 (2000)
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[Publications] A.Wada and H.Kanamori: "Submillmeter-Wave Spectroscopy of CO in the ^3Π state"J.Mol.Spectroscopy. 200. 196-202 (2000)