2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子置換ケイ素アニオン種における新規反応の開発と反応性制御
Project/Area Number |
12042241
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河内 敦 京都大学, 化学研究所, 助手 (70260619)
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Keywords | ジ(メシチルチオ)シリルリチウム / 硫黄官能基 / ケイ素-硫黄結合 / 還元反応 / シリレン / シラシクロプロペン / α-脱離 |
Research Abstract |
硫黄官能基を二つ有するシリルリチウム化合物としてジ(メシチルチオ)メシチルシリルリチウム1を合成し,その反応性を検討した。この1の合成には,トリ(メシチルチオ)メシチルシラン2のケイ素-硫黄結合を切断する方法を検討した。反応条件を検討した結果,2にTHF中,-50℃でリチウムナフタレニドを3モル量作用させると,一つのケイ素-硫黄結合が選択的に切断され,シリルリチウム1が収率79%で生成することを見出した。同様の条件下,リチウムナフタレニドを2.2モル量用いた場合には原料2が残存し,4モル量用いた場合には1の収率は大幅に低下した。また,ジ(メシチル)メシチルクロロシランを同様の方法で還元した場合にも,1の収率は大幅に低下した。ケイ素-硫黄結合の還元的切断によるシリルリチウム化合物の合成は,前例のない新しい方法である。シリルリチウム1は-50℃では安定で,クロロスタンナン,ヨウ化メチルとも反応し,それぞれシリルスタンナンおよびメチルシランを与えた。また,THF中における1の^<29>Si NMRの化学シフト値は37.4ppmであった。 また1は0℃付近で数時間で分解した。ジフェニルアセチレンを共存させると,シラシクロプロペンが生成した。同定は各種NMRスペクトル解析によりおこなった。この結果は,1のα-脱離により(メシチルチオ)メシチルシリレンが発生したことを示唆している。本反応は硫黄置換シリレンの発生法としても興味深い。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Kawachi,K.Tamao: "Mixed Reagent (Aminosilyl)lithium/i-PrMgBr for the Synthesis of Functionalized Oligosilanes"J.Organomet.Chem.. 590. 259-266 (2000)
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[Publications] A.Kawachi,H.Maeda,K.Tamao: "Stereoselective Formation of Cyclopropylsilane through Intramolecular Rearrangement of[(Allyloxy) dimesitylsilyl]lithiums"Chem.Lett.. 1216-1217 (2000)
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[Publications] A.Kawachi,H.Maeda,H.Nakamura,N,Doi,K.Tamao: "Chirality Transfer during the[2,3]-Sila-Witting Rearrangement and Cyclopropanation Reaction of Optically Active[(sec-Allyloxy) silyllithiums"J.Am.Chem.Soc.. 123(in press). (2001)