2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子置換ケイ素アニオン種における新規反応の開発と反応性制御
Project/Area Number |
12042241
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河内 敦 京都大学, 化学研究所, 助手 (70260619)
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Keywords | (テルロ)シリルリチウム / テルル-リチウム交換反応 / α-脱離 / シリレン / ジ(テルロ)シラン / 還元的リチオ化 |
Research Abstract |
研究代表者らは,ケイ素上にヘテロ原子官能基を有するケイ素アニオン種の化学について研究をおこなってきた。今回,ケイ素-テルル結合の切断によるシリルリチウムの合成法を開発し,テルル官能基を有するシリルリチウムの合成に初めて成功した。 ジメシチルジクロロシランに2モル量のリチウム-フェニルテルラートを反応させることにより,ジ(フェニルテルロ)ジメシチルシラン1を合成した。この1にフェニルリチウム(2.2モル量)をTHF中,-50℃で作用させるとテルル-リチウム交換反応が進行し,(フェニルテルロ)ジメシチルシリルリチウム2が収率80%で生成した。これはテルル官能基を有するシリルリチウム化合物の初めての例である。また,テルル-リチウム交換反応が有機リチウム化合物の合成のみならず,シリルリチウム化合物の合成にも有効であることを示した初めての例となった。また,1にリチウムナフタレニド(3モル量)をTHF中,-50℃で作用させるとケイ素-テルル結合の還元的切断が起こり,シリルリチウム2が収率73%で生成した。 このシリルリチウム2は-50℃では安定で,クロロシランと反応しジシランを与えた。一方0℃においては,シリルリチウム2からα-脱離によりジメチルシリレンが生成した。これはトリエチルシランによって捕捉され,ヒドロシランを収率11%で与えた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Kawachi, H.Maeda, H.Nakamura, N.Doi, K.Tamao: "Chirality Transfer during the[2,3]-Sila-Witting Rearrangement and Cyclopropanation Reaction of Optically Active[(sec-Allyloxy)silyl]lithiums"J.Am.Chem.Soc.. 123. 3143-3144 (2001)
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[Publications] A.Kawachi, T.Minamimoto, K.Tamao: "Boron-Metal Exchange Reaction of Silylboranes with Organometallic Reagents : A New Route to Arylsilyl Anions"Chem. Lett.. 1216-1217 (2001)
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[Publications] A.Kawachi, H.Maeda, K.Tamao: "Configurational Stability of [Di(amino)silyl]lithiums Having Cyclic Structures"Organometallics. (in press).
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[Publications] 河内 敦, 玉尾皓平: "窒素,酸素,硫黄官能基を有するケイ素アニオン種の合成,構造,反応"有機合成化学協会誌. 59. 892-903 (2001)